その2CVのプロトタイプがこれ。ひとつ目のヘッドランプやトタン板を曲げて作ったようなボンネット、天井から吊るしたハンモックシートなど、市販型以上に簡素な作りだ。ただしフラットツインは水冷だった。後ろの白いイモ虫みたいなのはC10といって、2CVをベースに作った空力実験車。1956年生まれとは思えないほどモダンだ。
SMやDSはノーマルも保管されていたが、せっかくだからラリー仕様を紹介しておこう。淡いフレンチブルーに塗られた3台はれっきとしたワークスカー。いちばん手前のSMはノーマルに近いが、その奥に並ぶSMとDSはいずれもホイールベースを縮めてポテンシャルを高めている。
それを反対側の後ろから見るとこんな感じ。2ドアとされたDSはお尻の垂れ下がり方に何となく面影が残っているが、SMはほとんどスポーツワゴンと化している。ほのぼのとしたイメージの強いシトロエンだが、この時代はここまでして勝利にこだわっていたのだ。