アルファGTは、全く新しいクーペモデル、である。その姿は03年のジュネーブショーで初披露されたものだ。企画はベルトーネ。デザインは元より、企画、開発、生産までを視野に入れた完全な提案をアルファロメオに対して行った。つまり、半ば“押し売り”の提案である。
もっとも、アルファ側にしても損はない。クーペモデルといえばGTVがあるが、このモデルチェンジは遅れそうだ。さらにより発展性を考えるならば、ちゃんと4人乗れるクーペがあった方がいいことは明か。隠して、両者の目論見が合致した。
アルファGTは156シリーズのプラットホームを用いる。厳密には、前アシを147系から、後アシをスポーツワゴンからいただいた。ホイールベースは156と同じだ。もっとも、それはメカニズムの設計という面だけであって、ダンパーやスプリング、ブッシュ、さらには足回り素材まで、細かな仕様やチューニングはクーペ専用に開発されたものである。
ベルトーネは、“できるだけ安くアルファが作れるように”と、企画しているが、それがそのまま安上がりということには繋がらない。全く新規で作り上げるよりは安く、効率よく、高性能が実現できる、と解釈するのが正しい。
その努力は至る所に見受けられる。フェンダーやドアは147GTAだし、その他、ミラーやサイドウィンカー、さらにはダッシュボード、シート、に至るまで147オーナーなら見慣れた景色になる。
・前フェンダーは147GTA。ミラーもウィンカーもそうだ。