アルファロメオ・スパイダーがエンジンを一新して生まれ変わった。これまでは2.0リッターの直4であるツインスパークを搭載していたが、今回からGTVに搭載される3.0リッターのV6へと変更されたのである。

2.0リッターから3.0リッターへ、となると当然期待は過激な方向へと膨らむのだけど、実は過激さは微塵も感じられない。こんな書き方をすると誤解される方も多いだろうから補足すると、確かに性能アップによって以前より速く、過激になったわけだが、この3.0リッタースパイダーは、そこに価値があるわけじゃない、ということだ。
 
じゃ、何に価値があるのか? これはやはり、一気に1.0リッターも増えた排気量がもたらす「ゆとり」というべきだろう。つまり3.0リッターエンジンを得たことで、スパイダーはこれまで以上に「大人のスポーツカー」として熟したということができる。

156にもV6は用意されるが、「アルファらしさ」や「官能的サウンド」が存分に感じられるのは、やはり3.0リッターのV6だろう。そんなユニットを得たスパイダーは、まさに魅惑のモデルへと成長したのだ。

滑らかな回転感と心に響くサウンドが、トップを降ろしたスパイダーにはよく似合う。2.0リッター時代は、決してコンパクトとはいえないボディサイズとそれなりに重い車重だったために、ギンギンに回してエンジンの元気の良さを楽しむクルマだったが、3.0リッター化によってスパイダーは、エンジンそのものの回転感や豊かなトルクなどを味わうクルマに生まれ変わっている。だからガンガンに回さずとも、例えば中回転辺りの過渡域そのものをじっくり堪能することができるし、そういった余裕の部分にこそ真価があるといえる。

スパイダーのシャシーは、もともとが限界まで攻めても最後まで付いてくるといった感じではなく、そこまで行くと不満な部分も多く見えてくるものだけに、この3.0リッターエンジンを搭載したことによって、エンジン/シャシーのキャラクターが見事マッチした。

つまりプラスアルファ辺りの領域で走ると、実に濃厚な味わいを伝えてきて、ドライバーは深く感動を覚える……そんなキャラになったのである。走りがもたらすエンターテイメントというのは、決して「速さ」ではない。こういった感覚の豊かさとその伝達性能の高さこそが、真価なのである。
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