ワインディングも素晴らしい印象
そしてホレボレするのは美しいサウンドや滑らかな作動だけでなく、実際の実力も相当に高いものであるということ。R32に搭載されるV6はFSIではない。急遽投入することになったため時間がなかったようだ。 |
ちなみに回転リミットは6500回転と決して高いわけではないのだが、全く不足を感じない。なぜならやはりここにも美しい音と滑らかさが効果を発揮しているから。そう考えるとますます、人が感じる気持ちよさというのは、数値ではなくフィーリングが重要なのだと思わされるのだ。
試乗場所がアウトバーンだけに、日本では体験できない速度域まで息の長い加速を試すことができる。R32のスロットルを踏みつけていると、メーター上で210km/hまでは本当にアッという間。そこまでは針がかなりの勢いで上がっていく。ただその先は空力の関係などもあるのだろう、速度の伸びは落ちていくのが実際。とはいえ、これほどの速度までストレスなく、しかも気持ちよく加速が続くのだから文句のつけようがない。
そしてこの領域で感動するのは、圧倒的な安定性の高さが微塵も失われていないこと。R32は例え30km/hでも、100km/hでも、そして200km/hでも全く変わらぬ印象をドライバーに与え続ける。走行中の滑らかさとしなやかさ、そして落ち着きのある安心感に溢れた走りが速度を問わず提供されるのだ。この辺りはさすがアウトバーン育ち。日本でもその素晴らしさは存分に味わえるはずだ。
なぜならこれも驚きの部分なのだが、R32はその走り出しから超高速クルージングまでで、実に優れた乗り心地の良さを味合わせるからである。先代のR32は「ゴルフ最強モデル」といえるパフォーマンスを実現していた一方で、乗り心地はかなりハードなものだった。しかしこの新型R32ではある意味それとは正反対の、実にしなやかな乗り味を提供してくれるのだ。路面の継ぎ目や凹凸を実にしっかりといなし、常に車体をフラットに保つ。
もちろんそれは単にサスペンションがソフトに過ぎるものではなく、ある程度の張りを持ちながら継ぎ目や凹凸で入ってくる衝撃を素早く収めるタイプのもの。それだけに実にスッキリとした印象がある。これならば本当にかなりの長距離を走っても疲れないだろう。
こんな風にして街中からアウトバーンまで、少しも変わらぬ素晴らしい感触を伝え、かつ乗り心地にも優れたR32。だが、ワインディングを決して苦手としていないどころか、ここでもまた素晴らしい印象を与えてくれた。