Cセグメント全体が、大幅にシフトし始めていると思えた。誤解を恐れずに言ってしまうなら、既にひとつ上のDセグメントに片足を突っ込んだ状態だといえる。3代目となるオペル・アストラと、5代目となるVWゴルフに乗って、僕はそう感じずにはいられなかった。
ともにサイズアップを果たし、もはや大衆車とは言い難い立派な体格を得るに至っている。コンセプト的にも素直に進化の方向を向いているという点で2台は同じである。3ナンバーサイズのボディは、ともに高い質感を実現しており、インテリアもまた同様だ。スタイリング的には、アストラの方がアグレッシブな雰囲気だ。一方ゴルフはキープコンセプトではあるが、モノとしての良さを追求したことがひと目で分かる。
品質に関しては、やはりまだゴルフの方が一枚上手と言わざるを得ないが、成長度合いという意味ではアストラに軍配が上がる。オペルはベクトラ以降、プロダクトに以前とは異なる考え方を明確に盛り込むようになったが、アストラもまたその戦略にのっとって先代よりも大幅に質感のアップが図られた。
ゴルフはゴルフで、相変わらずの驚きのクオリティを実現しているが、アストラは若さを感じさせる勢いの良さで、それに猛追している感じを受けるのである。
それにしても2台はもう、内外装においてCクラスや3シリーズの領域に足を踏み入れているように思える。実際、ゴルフの持つ質感は相当のもので、素直に価格を超えた価値を持っていると感じた。アストラもバリューな中身があると思えたほどだ。
では走りはどうだろうか? 僕はアストラとゴルフの2台をして、「もう3やCは要らない」とさえ思ったのが正直なところだ。ともに走り出しから、抜群の滑らかさを持つ。お互いにひと世代前のモデルと比べると天と地ほど違うほどの進化を見せている。
乗り心地に優れ、落ち着きがあり、重厚感さえ漂っている。だから走り出してすぐに、2台とも「へぇ」と思わされた。
こんな風に書くと、2台はほとんど同じ走りのように思えてしまうが、実際には大きく違う。アストラは見た目同様アグレッシブな部分を持ち、ゴルフもまた見た目同様のエレガントさを備えているといった感じだ。