VW(フォルクスワーゲン)/ゴルフ

もはやベンツやBMWの域に達したドイツCセグメント 新ゴルフ&アストラへ高まる期待(2ページ目)

間もなく日本に導入される新型オペル・アストラとゴルフに乗って、この2台は既にひとつ上のDセグメントに片足を突っ込んだ状態だと、僕は感じずにはいられなかった。

執筆者:河口 まなぶ

昨年ゴルフが登場した時にトピックとなったのは、リアサスにマルチリンクを採用したこと。上級車種に与えられるサス形式が、ついにこのクラスにも採用された。もっともそれ以前にBMWが送り出したMINIもまた、マルチリンクを採用するわけだが。

リアサスがマルチリンクになったことで、ゴルフの走りは文字通り1ランク上を感じさせるものになった。常に高い安定性を感じさせ、走りに良い意味で「重み」を感じさせる。リアサスがしっかりとしなやかに動くことが、走りのあらゆる部分に効いているという感じだ。電動パワステのフィーリングも、これまで体験したものの中で最も優れる抜群の感触を持ったもの。当然違和感などない。

これに対してアストラはコンベンショナルなトーション・ビームを使う。しかしこれは新開発のアイデアもので、ビームの構造やトーションバーの溶接角度などを数種類用意し組み合わせを変えることで、部品点数を少なくしながらも、様々な搭載エンジンに対応する仕様を作りあげている。またアストラの場合は、既に登場済みであるベクトラで採用された、CDC(可変ダンパーコントロール)機構付きのIDS―Plus(インタラクティブ・ドライビング・システム)サスペンションを、このクラスで初採用した。

最大で3輪まで同時にブレーキ制御を行う先進のESPであるESP-Plusや、その他各種センサーからの情報を制御ユニットに集め常時相互通信する。これによって運転席に設けられたスポーツ・スイッチひとつで走りの特性を変化させることができる。スポーツ・ボタンを押すと、それまでと走りの印象が一変する。

ステアリングはよりクイックになり、サスペンションは減衰力を高めてロールやピッチを低減。スロットル・レスポンスが高まり、2ペダルMTのイージートロニックやATではシフトポイントが変更される。

こうしてダイレクト感に溢れシャープな印象を生み出す。走り全体に締まった感じが増し、ドライバーはより積極的なドライビングを楽しむことができる仕組みだ。しかしCDC機構付きのIDS-Plusは、スポーツ・ドライビングだけに有効なのではない。路面状況やドライビング・スタイルに応じて常に最適な制御を行う。これにより常に高次元な乗り心地を実現しながら、路面状況に左右されないロードホールディング性を生み出している。

上級のマルチリンクを採用することで、基本性能そのものを大幅に引き上げたゴルフ。対するアストラはコンベンショナルなサスながらも、電子制御を使うことで走りのレベルを一段引き上げている。

実際、2台の走りは甲乙付けがたく、ともに惚れ惚れするような走りを実現している。そしてこの惚れ惚れ…は、Cや3はもう要らない、と思わせるほどのものなのである。

アストラもゴルフも、日本での価格は当然300万円以下になるだろう。そう考えるとこの2台は、ますますお買い得感を強める。Cや3並みの質感や走りやパッケージングをもちながらも、価格は約100万円安いのだから。そういうわけで僕は今、この2台にとても注目しているのだ。
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