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リチウムイオンの自動車用バッテリーが登場(2ページ目)

自動車用のバッテリーといえば、鉛蓄電タイプが一般的ですが、なんとポルシェでは最新のスポーツモデルに携帯電話やパソコンでお馴染みのリチウムイオン・バッテリーを採用してきたのです。果たしてその狙いとは?

執筆者:宮島 小次郎

軽さ以外にもリチウムイオン・バッテリーのメリットは多い

 911GT3
911GT3のようにサーキットで最高のパフォーマンスを発揮するモデルでは、サーキットの現場でバッテリーを交換するような使い方が想定されている
ポルシェの3モデルにオプション設定されるリチウムイオン・バッテリーは、従来の鉛バッテリーとそのまま交換して使うことができるものですが、実は外気温が氷点下よりも低い状態ではエンジンを始動するのに十分な性能を発揮できないため、状況によって鉛バッテリーと使い分ける必要があります。

もちろん、そこまで気温が下がらない地域であれば、普通のバッテリーと同様に使用することができますが、ポルシェでは例えばサーキット走行を行う際などに、現場でバッテリーを交換するような使い方を想定しているようです。

リチウムイオン・バッテリーの容量は18Ahと、標準装備の鉛バッテリー(60Ah)に対して容量が少なめに設定されています。ただし、鉛バッテリーではその特性上、実際は全容量の30%ほどの性能しか引き出すことができないのに対し、リチウムイオン・バッテリーでは充電レベルに関わらず、常に100%の能力を引き出すことができるため、十分な性能を発揮できるといいます。

また、リチウムイオン・バッテリーは鉛バッテリーと比べて内部抵抗が少ないことから、必要な電力を即座に引き出すことができるとともに、充電に掛かる時間もより短時間で済みます。その他、連続した充放電に強いことや自己放電しにくいことなどから、バッテリー自体の寿命が格段に長いというのもその特徴です。

このように軽量コンパクトであることも含めて、いろいろとメリットの多いリチウムイオン・バッテリーですが、今後課題となってくるのは、やはりその製造コストの問題でしょう。これに関しては、量産効果によるコスト削減を待つしかありませんが、いずれにしてもリチウムイオン・バッテリーが普及することになれば、内燃機自動車の登場以降、大きな進歩のなかったバッテリーの分野における革命的な出来事となるかもしれません。



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