軽さ以外にもリチウムイオン・バッテリーのメリットは多い
911GT3のようにサーキットで最高のパフォーマンスを発揮するモデルでは、サーキットの現場でバッテリーを交換するような使い方が想定されている |
もちろん、そこまで気温が下がらない地域であれば、普通のバッテリーと同様に使用することができますが、ポルシェでは例えばサーキット走行を行う際などに、現場でバッテリーを交換するような使い方を想定しているようです。
リチウムイオン・バッテリーの容量は18Ahと、標準装備の鉛バッテリー(60Ah)に対して容量が少なめに設定されています。ただし、鉛バッテリーではその特性上、実際は全容量の30%ほどの性能しか引き出すことができないのに対し、リチウムイオン・バッテリーでは充電レベルに関わらず、常に100%の能力を引き出すことができるため、十分な性能を発揮できるといいます。
また、リチウムイオン・バッテリーは鉛バッテリーと比べて内部抵抗が少ないことから、必要な電力を即座に引き出すことができるとともに、充電に掛かる時間もより短時間で済みます。その他、連続した充放電に強いことや自己放電しにくいことなどから、バッテリー自体の寿命が格段に長いというのもその特徴です。
このように軽量コンパクトであることも含めて、いろいろとメリットの多いリチウムイオン・バッテリーですが、今後課題となってくるのは、やはりその製造コストの問題でしょう。これに関しては、量産効果によるコスト削減を待つしかありませんが、いずれにしてもリチウムイオン・バッテリーが普及することになれば、内燃機自動車の登場以降、大きな進歩のなかったバッテリーの分野における革命的な出来事となるかもしれません。