カーエアコンのガス漏れ、修理をすべきか、ガスチャージか?

エアコンガス
自動車用エアコンガスにはR12(1995年に全廃)とR134aの2種類がありますが、いずれも大気に開放するとオゾン層の破壊など、環境への攻撃性が懸念されます
エアコンのトラブルとしては、ガス漏れがその主な原因であることを前回取り上げました。その対策法としては、抜けた分のガスを補充することで、とりあえず効きを取り戻すことができるのですが、やはりどこからガスが漏れているのかを確かめなければ根本的な解決とはなりません。

ただ、エアコン関係の修理では修理費が高くつくことが多いため、思い切って作業に踏み切れないというケースも多いようです。そこでガス漏れ修理の目安として、ガスチャージまでの期間を1年以上と1年未満で区切って考えてみるといいかと思います。

まずガスチャージから1年未満で、エアコンの効きが悪くなってしまうという場合は、症状はかなり進行していますので、根本的な修理が必要と考えられます。修理といっても、ガス漏れの場合はどこから漏れているかによって、修理にかかる費用も大きく変わってきますから、意外と安く治るケースもあります。まずはどこからガスが漏れているのかを、しっかりとチェックしてもらうことから始めてはいかがでしょうか。

次にガスチャージから1年以上はしっかりとエアコンが効くという場合ですが、放っておいてもガス漏れが直ることはありませんが、高い修理代を掛けてまですぐに直す必要があるかといわれると、ちょっと微妙です。環境破壊にもつながるエアコンガスが大気中に漏れているのですから、エコロジーの観点からすれば間違いなく直した方がいいのですが、こればかりはそれぞれの財布と相談していただいた方がいいでしょう。個人的には2~3年はもつというなら、ガスチャージで様子を見てもいいと思うのですが……。
 

まずはガスがどこから漏れているのかを見極める!

Oリング
ガス漏れの最大の原因となるのが、フィッティング部に使われるOリングの劣化です
さて、エアコンのガス漏れを修理するには、まずどこからガスが漏れているかを検査する必要があります。検査方法にはガス漏れ検知器を使う方法やエアコンのサイクル内に特殊な蛍光塗料を混入させ、その蛍光塗料からガスが漏れた箇所を特定する方法などがあります。

ガス漏れを起こしやすい部分としては、前回も紹介しましたホースなどの接続部、ホースとフィッティングのかしめ部、エバポレーターやコンデンサーといった熱交換機などが挙げられます。このうち、最もガス漏れを起こしやすいのがホースの接続部ですが、比較的修理も容易なのがこの部分です。

接続部には内部の高圧ガスをシールするためのゴム製のOリングがセットされているのですが、多くの場合はこのOリングが劣化してシール性が落ちてしまうことで、ガス漏れを起こします。そのためホースなどの接続を解き、Oリングを交換してやるだけで修理できます。ただし、エアコンのシステムはエンジンルーム内を複雑な経路で取りまわされているため、漏れが発生している場所によっては作業に手間が掛ることもあります。

次にホースとフィッティングのかしめ部からガス漏れが発生している場合には、ホース自体を交換する必要があります。クルマによってはやはり作業性に難点がある場合と、特に輸入車ではホース自体の部品代がそれなりに値が張ることが多いので、少々厄介な部類に入るかもしれません。

 

ガス漏れの位置によって、修理費用は大きく異なる

コンデンサー
普通ならまず問題のでないコンデンサーですが、飛び石などによって穴が空き、そこからガスが漏れることもあります
次に高温・高圧になったエアコンガスを冷やすためのコンデンサーについてですが、これはラジエターの前に装着されている部品で、形状もラジエターに似ています。通常はここからガス漏れが発生することはありませんが、飛び石などによってコアが傷ついてしまう例や事故などでフロントをぶつけた際にコアが変形して、ガス漏れを起こすことがあります。

コンデンサーから漏れが確認された場合は、コンデンサー自体の交換が必要になります。作業にはフロントバンパーの脱着なども必要になりますが、エアコン関係の修理としては比較的難易度の低い部類に入るかと思います。ただし、これも車種によってはそれなりに部品代が高くつくことがありますので、あまり歓迎できないトラブルではあります。

最後に室内に冷気を送るための要の部分となるエバポレーターですが、実はこれが最も厄介なところです。エバポレーターは通常、室内とエンジンルームの境目あたりにセットされており、外側から目視することができない部品です。ではなぜ、そんなエバポレーターからガスが漏れることがあるのでしょうか?

エバポレーターは、内部を霧状になった液化ガスが流れ、そのガスが気化するときの気化潜熱によって、エバポレーター周囲の空気を冷却する働きを行っています。その際に、周囲の空気から水分が結露となって放出され、それがエバポレーターに付着して車外へと放出されます。

実はこの水分が曲者で、エバポレーター周辺にたまったほこりなどがこの水分を吸収することで、徐々にエバポレーターを腐食させてしまうことがあるのです。しばらくエアコンを使っていなかったクルマで、エアコンを作動させた時にカビ臭いにおいがするのも、この水分が原因となっています。

エバポレーターからガス漏れが確認された場合には、やはりエバポレーターの交換が必要となります。ただし、前述のようにこの部品はとても奥まった部分に装着されているため、車種にもよりますが、大抵の場合、その交換作業はダッシュボード付近を全分解する大掛かりな作業となります。また部品代もエアコン関係の部品としては、かなり高額な部類に入りますので、その修理代はちょっと想像したくないものになるかもしれません。

というように、ひと口にエアコンのガス漏れといっても、その修理に掛るコストや手間はガス漏れの部位によって大きく異なるため、まずはどこからガスが漏れているのかを特定し、それから対策法を検討してみるのがいいのではないでしょうか? いずれにしても、エアコンの修理は一度にまとめて行うのがコツです。

なぜならエアコン関係の修理では、どの部品を交換するにしても、そのたびにガスを入れなおさなければならないからです。それならば、まとめて部品を交換し、ガスチャージを一度で済ませた方が、結果的には経済的な修理となるはずです。

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