冷却系路内はラジエターキャップに設けられた「リリーフバルブ」によって、一定の圧力になるよう調整されている。
さらに、ラジエターキャップには注入口から冷却水が漏れないよう、きっちり密閉するという大切な役目もある。このため、正常に機能していないと圧力コントロールに支障を来し、オーバーヒートなどのトラブルを引き起こすことになる。
ところが、シールはラバー製。高温・高圧が加わるため意外に早く劣化する。トラぶってからでは遅いので、できれば定期的に交換(冷却水交換時が管理しやすくベスト)したい。また、点検には本来専用テスタが必要となるが、簡易チェック法でも良否の判定はできるので、取り外したときは正常に機能しているかどうか確認しておきたい。
なお、リザーバータンク内の液量はOKでもラジエター内の冷却水が減っていることがたまにある。どこかでエアを吸っているときに起こるトラブルで、リザーバータンクの冷却水は減らないためオーバーヒートするまで気付かないから厄介。半年に1回。できれば季節の変わり目にはラジエターキャップを外してチェックしておきたい。
1.ウエスをかぶせて取り外す
まず、水温が十分下がっているか確認する。OKならラジエターキャップを外すが、安全のため必ずウエスをかぶせて取り外す。冷却経路内は密閉・加圧することで100℃でも沸騰しなくしてあり、ラジエターキャップを開けて大気に触れると、その瞬間に沸騰。高温の水が吹き出す危険性があるからだ。水温が十分下がっていればまず安全だが、念には念を入れウエスをかぶせて外すことを習慣づけたい。
2.一段目のロックが外れたところで内圧を逃がす
ラジエターキャップにも安全策が講じられている。ロックが2段階になっていて、1段目のロックが外れたところで一旦止めればガタつくもののラジエターキャップ自体は外れず、内部の圧力だけを抜くことができる。約60度回して回転抵抗がなくなったところ(2)が、その一段目。外すときは必ず、この一段目のロックが解けたところで一旦、止めてやる。
3.さらに回して取り外す
内圧が抜けたところで、さらに左に回すと2段目のロックが外れて取り外すことができる。こうすれば多少内圧が残っていたとしても、安全に取り外すことができる。安全のために、この脱着の手順は水温が下がっているときでも必ず実行したい。
.4.ラジエター内の冷却水をチェック
ラジエターキャップを外したら注入口からラジエター内を覗いてみて、冷却水が茶色く変色していないか、また口元いっぱいまで入っているかチェックする。
5.リリーフバルブの機能をチェックする
次にラジエターキャップを点検する。まず、加圧弁を指で押して抵抗を伴いながらもスムーズに縮み、かつ弾力があるかチェック。OKなら負圧弁を引き上げ、軽く動きつつも指を放したときにパッチンと確実に元に戻る状態にあるかチェックする。
6.シールラバーの状態を確認する
注入口に密着するシールラバーの当たり具合およびヒビ割れなどの劣化が生じていないかチェックする。なお、新品のシール表面は真っ平らだが、使い込むと当たり面が凹んで溝が掘れてくる。そんな状態でも均等に当たっていればまだ使えるが、ムラがあるとラジエターの注入口周辺に冷却水が吹き抜き出した跡が残るので確認を!そして、もしもこれらどこか1つでも異状があったときは要交換だ。
次のページはその他の冷却系チェックです