文章 : 高山則政(All About Japan「カーメンテナンス」旧ガイド)
秋らしく、朝晩はちょっと冷えるくらいに感じる今日この頃ですが、気温や湿度的にはクルマにとっても過ごしやすい季節です。今回はエアクリーナーのチェック法について、紹介していきたいと思います。
エンジンに吸い込まれる空気をきれいに
エンジンには、エアクリーナーというパーツが付いているのはご存じでしょうか?その名の通り、空気をきれいにするパーツで、エアフィルターとかエアエレメントなどの呼び方をされる場合もあります。エンジンも人と同じように、空気を吸ってはき出すという動作を繰り返していますが、吸い込む空気にゴミが混ざっていると、エンジン内部にダメージを与えてしまいます。
走行中に巻き上げられているホコリや砂、木の葉などがエンジンに吸い込まれると、吸入空気の通路が汚れたり、シリンダー内を上下運動しているピストンとこすれあって摩耗を早めたり、最悪の場合エンジンを破損させる原因にもなります。人間でいったら、塵肺という障害に似ているといえます。
このようなゴミの進入を防いで、きれいな空気のみをエンジン内に通す働きをするのがエアクリーナーです。花粉症の季節には、マスクを付ける人が多くなりますが、クルマはいつもフィルターを通した空気を吸っていますから、人間様より優遇されているのかも知れません。
フィルターが詰まるとどうなるか?
現代社会では道路状況がよいので、ホコリの量は昔より少なくなっていると思います。昔はジャリ道もありましたし(何年前の話し!?)、雪国ではスパイクタイヤの粉塵で春先になると目も開けられないくらいでしたが、最近はそういう光景はほとんど見られません。
とはいっても、大気中には常に見えないホコリが舞っていますし、都市部ではディーゼル車の黒煙量などの比較的粒子の大きい汚染物質も多いので、エアクリーナーは徐々に汚れてきます。
フィルターが目詰まりすると、当然エンジンに吸い込まれる空気量は減ってきます。その結果、パワーの低下や燃費の悪化、排気ガスの悪化(有害成分や黒煙の増大)などの症状が出てきます。エンジンのパワーだけを追求するなら、エアクリーナーの存在自体が抵抗と考えられますが、それが目詰まりすればなおさらです。
このため、定期的にクリーニングしたり、交換したりする必要があるのです。例えるなら、掃除機のゴミのたまった紙パックを新しいものと変えると、吸い込み力が回復するのと同じようなことです。
交換時期は結構長い
道路事情が良くなり、フィルターそのものの材質が改良されてきた結果、最近のクルマのエアクリーナー交換時期はとても長くなっています。クルマによって違いはありますが、国産車では4~6万キロを指定するケースが多いようです。仮に新車から年に一万キロのペースで走行すると仮定すると、4年以上かかる計算です。
このくらいになるとクルマそのものを買い換える人も出てきますが、そのくらい長く使えるということです。交換時期は、クルマのオーナーズマニュアルかボンネットの裏やエアクリーナーのケースに書いてありますが、わざわざ「汚れが目立っても交換時期まで変える必要なし」という趣旨の注意書きをしているクルマもあります。
ちなみに、シビアコンディションという走行条件の厳しい場合の設定はおよそ半分の交換時期となります。この場合、特にホコリの多いところを走行する場合や、走行距離の割にエンジンの掛かっている時間が長い、負荷が高くアクセルを多く開ける走行が多い商用車的使用、などの条件が考えられます。