液量以外のチェックポイント
液量以外に気を付けたいのは、水温計の動き、ベルトの状態、ゴムホースの状態、ラジエーターの後ろに付いている冷却ファンの作動、冷却水の漏れなどです。
まず、水温計は正常な状態なら真ん中か少し低い方を指しているはずです。登坂路が続くところや、渋滞中は水温が上がりやすいので時々見てやると良いでしょう。高速道路の走行は走行風で冷えますし、100キロ巡航程度ならパワーもごくわずかなので、冷却条件は良い部類になります。水温が上昇気味になる場合は、無理な運転を避け、液量を初めとする冷却系のチェックが必要です。
ベルトは、エンジンの冷却ポンプを回したり、風を送るファンを回す役目があるので重要です。ゆるみやヒビ割れがないかをチェックしておきましょう。以前、こんなトラブル例がありました。高速走行中にチャージランプ(充電警告灯)が付き、ベルト切れになったのは分かったのですが、バッテリーがあるため、しばらくは走行を続けることは可能でした。しかし、冷却水を回すポンプまで動かなくなったため、オーバーヒートしてしまったのです。いくら高速走行は勝手に風が入ってくるといっても、冷却水が循環しないのでは冷えません。
ゴムホースは、ラジエーターの上下にはアッパーとロアの2本のホースがありますし、室内のヒーターへつながる細いホース、その他エンジン周辺に数本のホースが装着されています。国産車の場合10年10万?レベルでは、まず問題ないと考えて良いでしょうが、表面にヒビ割れなどがないかを見ておけばよいと思います。
ラジエーターの後ろには、電動かエンジンで回される冷却ファンが付いています。これが正常に回るかチェックします。特に電動ファンは、冷却水の温度があるところまで上がらないと、回らないのでしばらく待って様子を見る必要がありますが特に問題がなければ、正常に作動していると考えても良いでしょう。また、ラジエーターの前に落ち葉やゴミがたまっていると、風通しが悪くなって冷却効率が落ちます。同時にエアコンの冷えも悪くなります。
冷却水の温度をコントロールしているのが、サーモスタットというパーツで、エンジン内に装着されています。基本的な部分は問題ないのに、水温がおかしいという場合はチェック対象にした方が良いでしょう。特に5年以上乗ったクルマは要注意です。サーモスタットのトラブルでは、冬場のオーバークール(冷えすぎ)という現象もあります。
冷却水が徐々に減っていく場合は、漏れの可能性大です。特に、ゴムホースの接続部やラジエーターの周囲を重点的にチェックします。漏れがわずかな場合は、水温が高いときに少しにじむ程度なので、発見はかなり難しいものです。しかし、その部分には粉をふいたり、冷却水の色が残っていたりします。一番やっかいなのは、室内のヒーターからの漏れです。直接見えないので発見しにくいのです。