文章 : 高山則政(All About Japan「カーメンテナンス」旧ガイド)
いよいよ、お花見が楽しいシーズンになって参りました。クルマのメンテナンスも、暖かくなってくると、色々チェックしたり、メンテナンスするのが楽しいものです。冬場は全然チェックできなかったという人も多いでしょうから、まずは手始めにベルトのチェックでやってみましょうか?ベルトといっても、エンジンについている装置を回しているやつです。
エンジンで回している装置=まとめて補機類って呼びます=には、どんなものがあるか挙げてみましょう。まず、バッテリーを充電し走行中の電気を作り出す発電機。普通はオルタネーター=古い呼び名はダイナモ=と呼びます。そして、エンジンのウォーターポンプです。
これは、冷却水をエンジン内やラジエターにグルグル回してます。昔から、この2つは1本で回されることが多いです。そのほかは、パワーステアリングの油圧ポンプ、エアコンがメジャーどころで、特殊なものはスーパーチャージャーや排ガス装置のエアポンプなどがあります。
ベルトの使用本数は、エンジンによって色々ありますが、ベーシックなのはオルタネーター&ウォーターポンプ、パワステ、エアコンと3本ないしは2本使うタイプ。最近は、すべてを1本で回すサーペンタイン方式が主流になりつつあります。
また、ベルトの形には2種類あって、Vリブドという真っ平らなベルトに5つくらいのリブ=溝=を立てたものが主流ですが、昔から使われていて今でも一部のクルマに見かけるのがVベルトという断面が台形になったタイプもあります。
ベルトはゴムにファイバーの芯線を入れたものですが、使っているうちにゴムにヒビ割れが入ってきて、放っておくとブチッと切れてしまいます。でも、やっぱり兆候ってものがあるんです。例えば、ゆるみが出て滑り症状が出ます。エンジンを掛けた直後、加速や空ぶかし、ステアリングを据え切りしたときなど、ベルトに負担が掛かると、キューッとなく場合があります。この場合は、張りを調整するのが先決ですが、寿命に近づいていることが多いんです。
ベルトが寿命かどうかを判断するには、ベルトの裏側を見ます。プーリーと接触している面に細かいヒビが目立っていたら、そろそろ交換時期といえるでしょう。切れる直前だと、ベルトが半分に裂けていたというものもあるくらいです。
また、Vベルトの場合はヒビだけでなく、念のためベルトがかみ合うプーリーの谷も見ます。Vの下まで光っていたら、ベルトが底付きしているので、交換しなくてはなりません。ベルトのクサビ効果が効かなくなっているためです。
張りのチェックは、プーリーの中間を10キロの力=体重計を押して感覚をつかんでおく=で押し、その時のたわみ量を見ます。Vリブドでは7ミリ前後が多いです。プーリー間の距離によりますが、10ミリあると緩いかもしれません。Vベルトは先に触れたように、クサビ効果があるので10ミリくらいでも大丈夫です。
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