カーメンテナンス/車の点検ポイント

エンジンオイルを頻繁に交換する理由とは?

エンジンオイル交換は、クルマのメンテナンスの中でも頻度の多い項目です。カーショップなどでも土日になるとオイル交換待ちで、一杯という風景をよく見かけます。

執筆者:高山 則政

文章 : 高山則政(All About Japan「カーメンテナンス」旧ガイド)

クルマのメンテナンスで出番の多い項目に、オイル交換があると思います。オイルは、エンジンを始め、トランスミッション(変速機)やデファレンシャル、パワーステアリング(フルードともいいますが)、エアコンなどなど、回転部分の潤滑に欠かせないものです。オイルも、使うに従ってメカ部分の摩耗粉などが出たり、オイル自体の性能が低下していくため、定期的に交換することになっていますが、最も使用できる走行距離が短いのがエンジン用です。例えば、ミッションオイルにエンジンオイルを使うクルマがありますが、同じオイルでもミッションでは、短くて4万?、長いと指定がない(無交換)場合もあるようです。ところが、エンジンでは長くても1万5000?となっています。

エンジンの場合は、他の機構より高温、高圧、高回転と条件が厳しいことに加え、燃料を燃やしているため燃えカスやオイルを劣化させる成分が発生してしまうわけです。エンジンオイルの点検をするときに、量だけでなく汚れ具合をチェックするというのも、燃えカスがオイルの性能を著しく低下させるためです。というわけで、エンジンオイルは短いスパンでの定期交換が必要なのです。

エンジンオイルの場合、交換時期は走行距離で決めるのが普通です。今のクルマだと、ガソリン車のNA(自然吸気)で15000?、ターボ車で5000?、ディーゼル車で5000?が標準的です。一般的な使用では、5000?ごとに交換するターボ車ではエンジン内の汚れはさほど目立ちませんが、10000?以上使用すると、茶色に着色したような状態になってきます。このため、よほど高性能なオイルでない限り、NAでも10000?以下で交換した方が良いと思います。ただし、これには精神的な要素もかなり含まれていて、メーカー指定の1万5000?で交換し、エンジン内のパーツが変色していても性能に影響するほどのダメージはないそうです。

ただし、費用がもったいないという理由で、メーカー指定の距離を過ぎるのは良くありません。エンジンの中にスラッジという黒色のヘドロ状の物質がたまり、潤滑性能が低下するだけでなく、オイルの通路などを塞いでしまい、焼き付きやオイル吹き出しなどのトラブル原因となってしまいます。以前、タイミングベルトが走行中に切れるというトラブルが問題になったこともありますが、その中にはオイルや冷却水のメンテナンス不足によって、ベルトで回転させるパーツの動きが渋くなったため切れてしまったというのもあったようです。たかだか数千円のオイル交換費用をケチったがために、エンジンを全損させることもあるのです。オーナーによっては、減ったオイルを足すだけという人もいるようですが、これでは汚れが溜まる一方ですから全量交換しましょう。

また、オイル交換2回に1度はオイルフィルターの交換もやっておく必要があります。フィルターは、オイル中に含まれるゴミを取り除いてきれいなオイルがエンジン内に回るようにするためのものですが、詰まると安全上のため、漉さないオイルが循環するようになっています。オイル交換5000?ごとなら2回に一回、1万?以上ごとの交換なら毎回交換した方がいいでしょう。
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