SUBARU(スバル)/フォレスター

新型フォレスターに欲しい個性(3ページ目)

3代目のフォレスターが登場。スバル車に対してはどうしても強いスポーティイメージを要求してしまうためか、やや物足りなさも感じた。しかし、居住や積載性など先代の泣き所は確実に克服している。

塚田 勝弘

執筆者:塚田 勝弘

車ガイド

乗り心地、静粛性が着実にアップ

荷室
レバーを引けばワンタッチで倒せる後席。先代よりも38Lアップした荷室は容量もさることながら、スクエアで張り出しが少なく使いやすい形状に
今回試乗したのは、一番の売れ筋と思われる「2.0XS」の4ATで、さらに大型サンルーフ付きでプラチナカラーのインテリアになる「プラチナセレクション」も付いていた。2.0LのDOHCエンジンは148ps/19.5kg-mと8ps、0.5kg-m向上し、排ガス規制対応もU-LEVからSU-LEVに進化。

2.0LのNAエンジンはパワーアップしたが、サイズとボディの重量アップ、車格アップに今イチ付いて来れていないという印象だ。MTならまだしも、4速しかないATだとステップアップ比も大きく、ゼロ発進から流れに乗るまでやや右足に力を入れる必要がある。もちろん普通に走るぶんには問題はなく、いったん加速すれば高速道路でも追い越し車線をリードできる。だが、決して速くはない。ATの多段化と水平対向エンジンのトルクアップは依然として課題といえるだろう。ターボ車を購入すれば「モアパワー」は解決するものの、プレミアムガソリンはご時世だけにつらい。

乗り心地、静粛性ともクラストップレベル

エンジン
2.0LのNAとターボのみというシンプルな構成。燃費は高速道路が約7割で230km走り、10.9km/Lだった。流れに乗りとくに飛ばしてはいない
パワートレインは平凡と感じたが、好印象だったのが乗り心地のよさと静粛性の高さ。エンジンが暖まっていないアイドリング時では少々振動が残るのと、クリープでもやたらエンジン回転が高まってしまい空走感が高まるものの、全般的にエンジン音、ロードノイズといった遮音性は高く、静粛性はかなり高い。ロングホイールベース化の恩恵も明らかで、先代にありがちな短いピッチでの上下動がすっかり改善されている。静かさと乗り心地は、車格アップにふさわしく一段と大人になったといえるだろう。

メーカーもディーラーも、あるいはユーザーも待ち望んだサイズアップは個人的には残念な気もする。だが、商品力向上は確実だし、スバルだけにコンパクトSUVの存在を強いるのも酷だろう。また、内外装のデザインに関しては好みがハッキリ分かれそうだ。外観はともかく、内装のセンスはどうにかして欲しいと感じた。後はSTIや「クロススポーツ」などのスポーティ仕様の追加も待ち望みたい。全方位よくできている新型フォレスターだが、もう少し個性という面ではもの足りないと感じたからだ。

スバル「フォレスター」の公式ウェブサイトはこちら
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