アルファード |
K氏:::先代のエルグランドが登場した時に、一番感心したのはそこだったな。サードシートの独立スライドは、シートピッチと客室/荷室の配分の自由度が高くなって多人数乗車で非常に便利。ところが、サードシートを収納した状態での積載性は左右跳ね上げ方式が優れる。エルグランドは、この両方の機能を備えていた。
O君:::アルファードはエルグランドの真似をした?。
K氏:::そういう言い方はトヨタに失礼だろう。旧来の1BOXワゴンからなんだけどサードシートは左右跳ね上げ収納が一般的。でも、そこは商乗兼用型の考え方も見え隠れする。グランビアはワゴンの性格を強めるためにスライド&チップアップ(座面をバックレストに密着させるように跳ね上げる)にしたと思ったほうがいい。
O君:::でも、比較したらスライド&チップアップが優れているところはないじゃないですか。
エルグランド |
O君:::グランビアは上級乗用車感にこだわってサードシートの跳ね上げ収納を採用しなかった?。
K氏:::それがすべてとは言わないが、アルファードのスライド&左右跳ね上げ収納の採用では、サードシートの座り心地の悪化を気にしていたのは事実だね。実際に、サードシートの建て付けは低下している。シートのがたつきとかシート形状はグランビアのほうが良かったな。エルグランドも、その点ではよくない。アルファードよりも建て付けがあまい。もっとも、エルグランドの新旧を比較すると、しっかりと改善されている。ここは従来車からの乗り換えオーナーには心情的に有利かな。
O君:::だったら、スライド&チップアップにすれば良いのに。
K氏:::とはいえ、グランビアのサードシート機能は不評だった。多分に、エルグランドとの比較で語られたのだと思うが、そんなお客さんの要望に応えたわけ。しかも、その意見は現実的な使い勝手によるものだから、当然対応する。
O君:::じゃあ、前のグランビアの「建て付けの良いサードシート」を気に入っていた人にはアルファードは不評なんだ。
K氏:::そこで見逃せないのが、エスティマの存在だな。こっちは「6人乗りリムジン」がコンセプトだから、サードシートまで質感の高いシートを用意する。キャビンスペースはアルファードよりも狭いが、上級ワゴン感覚では勝っている。サードシートの建て付けまでこだわるユーザーには、「エスティマがありますよ」ってわけ。