ニッサン不調が伝えられていた中、モデルライフ末期まで高い人気を維持し、孤軍奮闘の感さえあったエルグランドのモデルチェンジである。従来モデルの好調は確実に継承しなければならないし、しかも新しい時代と新しいユーザーに対しても積極的にアピールしていかなくてはならない。何とも悩ましい状況ではあるが、それだけに力作と思われる内容は必須である。

当然、試乗に際しても、期待は高まるばかりだったのだが、果たしてエルグランドは、その期待を裏切らず、困難な要求に応えていた。

従来のエルグランドの長所。つまり、V6の搭載や押し出しの利いた外観による車格感の演出、そして1BOX型ミニバンに求められる高い実用&多用途性の高次元での達成などは確実に継承されている。例えば、サードシートは従来どおりスライド&リクライニング機構を備えた上で、左右分割の跳ね上げ収納が可能である。これはグランビアの後継となったアルファードにも採用されているが、広いキャビンを多彩に使いたくて1BOX型ミニバンを選ぶユーザーにとって、ユーティリティ面で非常に重要なポイントである。もう少し違った言い方をするならば、旧来の1BOXワゴンユーザーとRVブーム以降の新しい1BOX型ミニバンユーザーの双方の期待に応えた設計なのである。

ややもすると、アメリカン・バニング感覚の「ムード」で売るミニバンのようにも思えるのだが(実際にその要素は否定できないが)、けっこうユーザーの現実的な視点に立った設計が施されている。

この思想は新型になって一層強くなっている。従来車で最も気になるのが快適性だった。好意的に解釈すれば「迫力があってスポーティ」ともいえるのだが、エンジン音にしても、路面からの突き上げ、またはちょっとした車体の動きに対するボディの揺れ方など、けっこう乗員にストレスをかけるタイプだった。あるいは商用車的な部分が残っていると感じさせるようなところがあった。

しかし、新型は違っている。スカイラインにも搭載されているVQ35DEは、エルグランドとのコンビネーションでも紳士的なエンジンフィールを持っている。まったく脈絡はないのだが、「三つ星(超-低排出ガス認定)を受けた環境への優しさは、ウソではないな」と何となく納得してしまった。要するに新型の走りの鍵が乗員への「優しさ」にあることを最も早く(走り出した瞬間)に主張するのがエンジンなのである。