FFにとって「滑る」はタブー
正直いって、ホンダの4WDの評判は芳しくなかった |
「ホンダの4WDが高く評価されている」という話はあまり聞かない。「滑るの大嫌い」というDNAをホンダが持っているからだと思う。
御存知のとおりホンダの歴史=FFの歴史でもある。しかもサーキットに薫陶を受けてきた。FFでサーキットを走る場合、滑ることは明確に「悪いこと」。前輪が滑ればタイムロスするし、何より曲がらない。後輪が滑ってもタイムロスし、何より不安定になってしまう。とにかく「滑らないクルマこそ良い!」みたいな大前提があるのだろう。一方、雪道を走ると「滑ること」を前提としたクルマ作りをしなければならない。滑らないことなどあり得ないのだから。そのあたりの葛藤から楽しい4WDを作れないのかもしれません。
あまり期待はしてなかったけれど……
スポーティモデルは雪道でも楽しい |
けれど面白いことに「雪道を走るのは面白いこと」と考える人もホンダの中にいるらしい。毎年のように北海道の鷹栖にあるテストコースで雪道の試乗会を開くのだ。実際、ホンダの雪道性能って冬道のヘビーユーザーからすれば評価は高くないけれど、普通の人にとっちゃ何ら問題ないレベルに達してます。
普段あまり雪道を走ったことのないメディアだって同じ。加えて何の制約もせず自由に走らせてくれる。かくして「ホンダ車を雪道でガンガン走らせたら凄く楽しかった」という記事がたくさん出るという寸法。ところが困ったことに雪道試乗会を催すと、悪口しか言わないという性格の悪い輩(それは私です)も混じってしまう。
そんなこんなで、いつも普通の4WDは1回ずつしか乗らず、S2000やインテグラのタイプRなどに乗って滑らしまくって楽しんでいるのだけれど(不思議なことにスポーティモデルは滑らせても楽しく作られている。ただし手強い)、今回の試乗会から明確に感じたことがありました。ホンダの雪道性能、ハッキリ良くなったのだ。
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