フォレスターにSTiバージョンが追加された。ワタシから見れば「ついに出た!」と言うより「やっと出たか」という感じ。なんせ材料はずいぶん前から揃っていたのだから。今回最大のトピックスは、アメリカ版インプレッサWRX STiバージョンに搭載されているのと同じ2,5リッターターボエンジンを搭載したことである(ただし300馬力から265馬力にデチューンされたタイプ)。それまでのフォレスターのターボモデルは2リッターターボで220馬力だったから、一気に45馬力もパワーアップしたワケ。しかもプラス500?の余裕で、低中速トルクに余裕ができた。
ミッションもインプレッサのSTiバージョンに採用されている6速MTのギヤ比を見直して搭載。1速はよりローギヤ方向へ振り、重量増による瞬発力の低下を補い、6速はよりハイギヤードに設定し、高速巡航時などの燃費効率を稼いでいる。このほか225/45R18タイヤや、専用ホイール奧にゴールドに輝く巨大なブレンボ製ブレーキキャリパーなど、動力性能の大幅な向上に合わせ足回りのキャパシティもしっかり確保されているのだ。これだけ専用装備が満載で295万円なら魅力度高い。
では試乗といってみよう、スタートしてまず感じるのは排気量アップの効果。アクセルペダルに足を触れた瞬間から明らかに力強い。2リッターターボは軽快な回転フィールで気づくとスピードが出ているという印象だったが、この2,5リッターエンジンは豪快の一言。スピードメーターの針がはじかれたように振れてしまう。6速ミッションのタッチは。しっかりとした剛性感があり、カチッと決まる感触はとても心地よい。クラッチもこれだけのパワーが出ているクルマにしては扱いやすい重さだと思う。
今回の試乗会場はツインリンクもてぎだったので制限速度無し。限界性能を見ようとストレートでリミッターに当たった状態からフルブレーキングでコーナー進入。すると、テールが流れてドリフト状態。でも全く恐怖感無し。クルマの状態が手に取るように解るから、むしろ積極的にコントロールしてやろうとさえ思ってしまう。半端なスポーツカーだとこの状態でアクセル踏んでも、全然前に進まないのに、そこはやっぱりスバルのAWD。強烈なトラクションでグイグイ加速。すぐに次のコーナーが迫ってくる。ブレンボブレーキも信頼できるモノで、サーキット試乗でも一定の制動力をキープし続ける頼もしさだ。
これだけのスポーツモデルに18インチタイヤを履いているから乗り心地も悪いかと思いきや、案外しなやかな印象。インプレッサのSTiバージョンに比べればかなりソフトに感じる。この辺はSUVテイストを少し残した部分と考えられるけれど、サスペンションストロークの余裕も一つの要因として挙げられるだろう。ポルシェ・カイエンのターボを大艦巨砲主義SUVのトップだとすれば、フォレスターSTiバージョンは戦闘機のようなもの。けっこうインパクトあります。
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フォレスターSTiバージョン試乗