2000年秋、東京上野の国立博物館にて、デビアス(現ダイヤモンド・トレーディング・カンパニー)の企画協力により、盛大に《ダイヤモンド展》が開催されました。203.04カラットの「ミレニアムスター・ダイヤモンド」、407.48カラットの「インコンパラブル・ダイヤモンド」など、世界のフェイマス・ダイヤモンドが展示され、26万人を超える入場者を記録した展覧会です。
2001年には、今度は東京展を大きく上回る規模の《ダイヤモンド展》が、パリの自然史博物館で行われました。鉱物学コレクション・ホールの広大な金庫室そのものが会場となったパリ展では、スミソニアン博物館やルーブル美術館の至宝、ポルトガル国立銀行が初めて海外貸し出しを許可した王家の宝物など、歴史的なダイヤモンドが一堂に会したのです。
そして2002年、3月1日より6月30日まで、今度はローマのクィリナーレ宮にて開催された《ダイヤモンド展》。パリ展同様の密度の高いダイヤモンド・コレクションに加え、今回はヨーロッパ中から集められたたくさんの絵画が展示され、宝飾文化の歴史がよりよく理解できる濃い内容の展覧会になっていました。
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白眉は、何といっても「ローマ王の首飾り」。かのスミソニアン博物館が所蔵する至宝で「ナポレオン・ネックレス」と呼んだ方が通りがいいかも知れません。これは1811年に、ナポレオンがローマ王となる長男の出産を記念して、妻のマリー・ルイーズに贈ったもの。ブラジル産のダイヤモンドを使ってニトー商会(後のショーメ)が製作した、信じられないほど豪奢なネックレスです。厳重な展示ケースの隣には、このネックレスを身に着けて誇らしげに微笑む、皇后マリー・ルイーズの肖像画が掛けられています。
「ローマ王の首飾り(ナポレオン・ネックレス)」。 |
さらに、パリ展に続き話題となったのは、ポルトガル王家秘蔵の宝物の美しさ。1790年に作られた「金羊毛勲章(ゴールデン・フリース)」は、400個を超えるダイヤモンド、ルビー、サファイアでびっしりと飾られています。よく見ると、ぐったりした羊がたれ下がっているこの勲章は、金羊毛騎士団の長たるハプスブルク家のシンボルともいえるデザインで、ギリシャ神話に出てくる黄金の羊の毛皮がモチーフになっています。カルティエの名作ジュエリー「パンテール」のぐったりした豹のペンダントは、金羊毛勲章から想を得たものに違いありません。
「金羊毛勲章(ゴールデン・フリース)」。 |