イタリアが得意としているのは、機械によるチェーン類の大量生産ですが、より温かな感じのするもの、職人の匠の技を駆使したものが注目を浴びる今、たいへんに細やかなメッシュ状のゴールドも、スポットライトを浴びていました。
メッシュのテクスチャーはこれまでよりも多様化していましたが、どれをとってもまるで本物の布のようなしなやかな手触りで、その技術力の高さには本当に驚かされます。今回は、ゴールドで編んだヘッドドレスやショールを身に着けた《カルガロ》のスタッフたちが会場内を練り歩いたりして、バイヤーたちも思わず目を見張っていました。
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左:《カルガロ》
手首にびっちりと編まれたゴールドのタイを巻き付けて。
フリンジのついたネックレスも、ゴージャス感たっぷり。
少し離れてみると、本当に黄金色の布地を巻いているように見えます。
中央:《オルランド・オルランディーニ》
国際ジュエリー・コンテスト「ゴールド・ヴィルトゥオーシ2000」で
高い評価を受けたフィレンツェの工房。
中世の騎士の鎖帷子(くさりかたびら)からインスピレーションを受けた作品。
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右:《チェリン・レナート》
インド綿のガーゼのようなタッチでくしゅくしゅっと編んだ
ホワイト・ゴールドに、マルチ・カラーの淡水真珠をプラス。
ファイン・ジュエリーのようなアクセサリーのような、不思議な存在感です。
最後に、健在ぶりをひたすら発揮していたのがクロス・ペンダント。《ダミアーニ》の記事でもお知らせしましたが、日本で流行っているようなゴシック調のデザインではなく、カジュアルなシーンで積極的に着けられそうなシンプルなもの、ファンタジックなものが目につきました。
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左:《パスクワーレ・ブルーニ》
ピンク・トルマリンを花のようにあしらった、大きなクロス。
左手に着けているのは、新作リング「スターズ」です。
首にぐるぐる巻きにした時計が、なにやら窮屈そうでしたが…。
右:《パスクワーレ・ブルーニ》
新作「スターズ」コレクションのボリュミナスな指輪。
濃淡のブルー・サファイア、渋いコニャック・カラーのダイヤモンドがポイント。
淡いサファイアも、茶色のダイヤモンドも、ジュエリーに使われることは少ない宝石です。
■お問い合わせは、
パスクワーレ ブルーニ 帝国ホテル店 電話 03-3506-4730。
ところで、「日本ではアンティークのスタイルを模倣したアクセサリーが人気なんだけれど?」と、あるイタリア人デザイナーに訊ねたところ、「それって、日本の若い女性たちが本物のアンティーク・ジュエリーを知らないからなんじゃないの」と一笑されてしまいました。
確かに日本では、今のファッション・シーンの幻想的でふんわり甘いテイストに合わせるために、ヴィクトリア風やゴシック風のアクセサリーに人気が集まっています。これらのアンティーク調アクセサリーは、身に着ける側にとっては非常にとっつきやすく、かつ“わかりやすい”スタイルなのでしょう。
しかしヨーロッパでは、そんな“なんちゃってアンティーク”に飛びつくデザイナーやユーザーは少なく、もっと高度に巧妙なやり方で、時代の「今」の雰囲気を、エレガントに、そしてスマートに表現していたのでした。
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