妊娠の基礎知識/高齢出産

性感染症の蔓延は35歳以上にも拡大中!?(2ページ目)

ここ数年で性感染症が増えています。以前、一般的に性病と呼ばれた淋病や梅毒は症状も気づきやすく、早めに治療ができたのですが、最近増えているのは、自覚症状のほとんど現れない性感染症です。

大葉 ナナコ

執筆者:大葉 ナナコ

妊娠・出産ガイド

現代の性パートナー事情が拡大の原因

クラミジアを始めとした性感染症が増加している要因としては、一生のうちで複数のパートナーとの性行為があります。また短期間でパートナーが変わるといった現代のセックス事情が関係しています。さらに、性感染症の予防法や対処法について知らない「無知である」という問題です。「実は増えている! 40歳代の中絶」で書いた人工中絶手術の増加の原因と同様ですね。

若い世代が未熟さゆえに無知なケースに関しては、大人世代の積極的な啓蒙が必要です。社団法人・日本家族計画協会のDr.北村クリニックでは、若い世代に親しみやすく性や感染症の問題を啓蒙しています。しかし、これも中絶の場合と同じく、実は35歳以上の大人世代の感染者も確実に増えています。

一つは、性的なこと全般に関する無知の問題があります。社会保障人口問題研究所の結婚に関する調査によると、35歳位までの段階でなんと25%の男女に性経験がないという結果が出ています。若い世代が性的に早熟になる一方で、こんな現象が起こっているのです。とある結婚相談所では、未婚高齢男性には「恋愛逃避症候群」があり、それを克服するプログラムを作ったということ。初めての失恋がショックでそれ以来恋愛できない、つまり性的経験がない。そうした場合、性交渉の相手がコマーシャルセックスワーカー、性風俗現場も感染症が蔓延するきっかけの要因です。

そして、残念ながら結婚していたからといって安心とは限りません。女性のクラミジアが発覚する機会の一つが、HIVを始めとした一通りの検査をする妊婦健診なのです。もし発覚したら、せっかく喜び合っているパートナーとのとの関係に水を差してしまう……と黙ったまま女性の側だけ治療しても、夫婦生活がある限りピンポン感染してしまいます。「あなたが原因よ!」と詰め寄っても、これから妊娠・出産・育児を協力し合う者同士、あまり建設的ではありません。知り合いの産婦人科医に「妊婦健診でクラミジアが見つかったらどう対処してますか?」と聞いたら、「“喧嘩両成敗、はい二人で治そう~”といってサラッと錠剤を処方しますけどね」の事でしたね。

子どもたちにも正しい対処方法を!

話は若い世代に戻ると、性交体験のある男子高校生の7.3%、女子高生の13.9%がクラミジアに感染していたとのことです。欧米の同様の調査では、高校生の感染率は1~3%が通常。アメリカなどではコンドームの使用に関しての啓蒙が行き届いているのが要因だと思われます。それにしても、日本の値は際立って高く、これは国際社会でも問題視されています。

子どもがまだ10歳代未満の共働き育児カップルの場合は、ほんの数年後には性感染症は子ども世代の問題となるのです。子どもたちが性的セルフケアの正しい知識を持っていないと、将来、子どもたち自身が不妊症になってしまうことも考えられるのです。だからこそ、まずは子育て世代が正しく対処できる大人になる事が第一歩ではないでしょうか?



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最近増えている性感染症-クラミジア-

<関連リンク>
日本家族計画協会
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