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赤ちゃんポストと子どもを手放す人のこころ(4ページ目)

妊婦さんの中には、どうしても育てられない赤ちゃんを産む人がいます。特別養子縁組を17年間続けてきた産婦人科医・鮫島浩二先生に、生き別れる親子たちの現実をお聞きしました。

河合 蘭

執筆者:河合 蘭

妊娠・出産ガイド

たとえ障害がある赤ちゃんでももらいたい

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鮫島 養親になる方は、不妊治療をしてきたけれど授からなかったという方が多いですね。ただ、こちらも希望を聞いてすぐに受け入れるわけではありません。赤ちゃんに障害があっても育てていくくらいの覚悟がある方なら、安心して赤ちゃんをお渡しできます。時間をかけてお話していくのですが、そこまでの心の準備ができるまでには、どなたもたいてい年月がかかります。

そして本当に準備ができたと思ったら「今度、赤ちゃんが生まれるんですけれど」とお話しします。そこまでの長い道のりがありますから、ほとんどの方が電話口で泣き出してしまいます。

産まなかっただけで、あとは全部本当のママ

河合 お子さんへの告知はどうなさるのですか。

鮫島 親戚はみんな知っていますから、隠し続けることはとても難しい。それなら、親以外の人から聞くより親が話してあげた方がいいんです。僕は、2~3歳のできるだけ早い時期に話してあげた方がいい、と言っています。「○○ちゃんは、ママが産めなかったの。でもそれだけで、あとは全部ママの子どもよ」と。

河合 日本では養子をもらう人がとても少なくて、アメリカではとても多いわけですが、それはキリスト教の影響だと聞きます。キリスト教のどういう教えが養子の受け入れにつながっているのですか。

鮫島 キリスト教では、子どもは、肌の黒い子も黄色い子も白い子も、神様の子どもなんですよ。神様から預かっているんです。だから、他の人が産んだ子も大切にできるんです。

乳児院や養護施設にもっと目を向けて欲しい

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河合 鮫島先生は学生時代から養護施設でボランティアもなさっていたとか。

鮫島 知人がいてひょんなことから始めたんですよ。子どもと遊ぶボランティアでした。人手が足りないですから、みんなとても愛情に飢えているのがわかります。ひとりで新聞ちぎっておとなしくしている子なんかは、もう本当に誰にもかまってもらえないですから。乳児院や養護施設からもっと養子に出したり、里親家庭に行けるように、法律を変えていかなければならないですね。そうすれば、赤ちゃんポストもやり甲斐があると思います。

河合 どうもありがとうございました。



産婦人科には誕生という光の部分と、中絶、時には遺棄の現場になるという影の部分があります。その両方に接しなければならない葛藤を感じた医師は、様々な答えを出してきました。鮫島先生の選んだ形「特別養子縁組」。あなたはどうお感じになりましたか。



さめじまボンディングクリニック
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『その子を、ください。-特別養子縁組で絆を紡ぐ医師、17年の記録』
鮫島先生の特別養子縁組が手に取るようにわかる一冊です。
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