妊娠の基礎知識/妊娠中の体重管理

妊娠中毒症に減塩・体重制限は本当に効く?(2ページ目)

「減塩&低カロリ-食」は妊娠中毒症から身を守る常識とされてきました。でも最近は、さほど大きな効果はなく、極端に制限すれば重症化の危険さえあることがわかってきました。

河合 蘭

執筆者:河合 蘭

妊娠・出産ガイド

やせすぎ、極端な減塩は病気を悪化させる

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重症妊娠中毒症にかかる率と体重増加のグラフ(妊娠前に標準的な体重だった場合)左から、体重増加5kg以下、5~7kg、7~10kg、10~12kg、12~15kg、15kg以上。5~15kgでは全体の1%くらいで差がつかず、それ以下のケースで急上昇した。

この調査でもうひとつ興味深いのは、重症妊娠中毒症の発生が最も高かったのは、体重増加が5kg以下のグループだったことです。このグループは、標準的な増え方をした人たちの約3倍、5kg以上増えたグループの1.5倍も高い率で重症妊娠中毒症になりました。栄養の制限は、極端になると、ふとりすぎよりなお結果が悪く、「ほどほどに」というさじ加減が大切だとわかります。

妊娠中の大関心事である体重増加。これは、減塩についても同じことが言えます。極端な塩分制限は血液の量を減らしてしまい、かえって血圧を上昇させることがわかってきました。減塩は高血圧の予防に必要だと考えられてきましたが、妊娠中の高血圧については効果がないという報告もあり、これも、あまり夢中にならない方がよさそうです。

中林先生は、日本人はもともと塩分摂取が多いので「少し控えめ」くらいでちょうどよいかと考えています。予防には1日10g程度を、妊娠中毒症が発症した場合は7~8gをそれぞれ目安にすべき、とのことです。

一番大切なのは、休養を十分に取ること 


肥満や塩分の摂りすぎに良いことはありませんし、もともと肥満気味の人、高血圧症など妊娠中毒症のリスクが高い人は大切なことです。でも一般的なケースでは、もっと気にしたい、大切なことがあります。

妊娠中毒症の予防、治療に明らかに大切なのは、休養を十分にとることです。必要な栄養素をしっかりとり、血圧や血中の水分を正常に保つ体力を持つことが大事です。特別な食事を作らねば、と台所に立ちすぎ、へとへとになるような事態は避けましょう!

■続きの記事を読む
将来の高血圧に注意



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愛育病院院長・中林正雄先生
◆この記事は、名称変更に関わった委員でいらした愛育病院院長・中林正雄先生(産婦人科医)のご指導をもとに構成しました。 愛育病院
<参考資料>『産婦人科治療』(永井書店)2004年5月号「特集・妊娠中毒症とその管理」
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