学習・勉強法/全国学力テスト

2010年全国学力テスト徹底分析(2ページ目)

悉皆(しっかい)調査から抽出調査へと変更された2010年の全国学力テスト。上位と下位の都道府県が固定化しているという傾向は変わらないまま。今回は、調査に参加していない地域もあるため、受験生が今後の勉強に活かせるように、多くの中学生が苦手と思われる分野を徹底分析しました。

伊藤 敏雄

執筆者:伊藤 敏雄

学習・受験ガイド

中学国語A問題(つづき)

■大問10の三
( )の中の1から4までのうち、最も適切なものを選択する。
エ.参観日には父が学校へ来ると(1申して 2おっしゃって 3話されて 4申されて)おりました。【正答率55.1%】
オ.兄は困っている人を見ると放っておけない(1品格 2資質 3性分 4器量)だ。【正答率50.7%】

エの問題、オの問題ともに正答率は50%台と、敬語や類義語の意味や用法に課題があることがわかります。特にエの問題では、「1申して」と謙譲語を答えなければならないところを、「2おっしゃって」と尊敬語を答えるケースが目立ちます。平成15年の教育課程実施状況調査にも同一問題が出題されていますが、正答率は71.5%から55.1%と16.4ポイントも下がっています。敬語の学習は小学校5、6年生ですから、旧課程で学んだ世代と比べて正答率が大幅に下がっているのは、ゆとり教育の影響が表れているからと言えるでしょう。問題集を解くだけでなく、日常生活でも正しい敬語を使うことを心がけることが大切です。

中学国語B問題

■大問1の一
新聞記事の記事中に紹介されている施設が開設された年月を書く。【正答率75.8%】

記事中の「昨年3月」と記述されている部分を読み取り、施設が開設された年月を答えられない生徒が約4分の1もいることがわかります。文章の中から必要な情報を読みとるだけでなく、読みとった情報を元に考える力が不十分だと言えます。

■大問3の三
2つの表現に共通した面白さについて自分の考えを30字以上、50字以内で書く。【正答率63.9%】

国立の中学校の正答率が91.2%、私立の中学校の正答率が83.6%ですから、それほど難しくない問題と言えます。しかし、全国の正答率は63.9%と高くありません。問題なのは無解答率が22.6%と、出題された問題の中で最も高いことです。普段から、思ったことを文章に書く習慣が不足していると考えられます。
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