損害保険/損害保険関連情報

火災保険金を受け取れないのはどんな時?

火災保険は、不測の事態によりマイホームが損害を受けたとき役立つものですが、事態によっては火災保険金が支払われないこともあります。それらは火災保険の約款に具体的に定められていますが、火災保険契約時、確認しましたか?今回は、保険金を受け取れないのはどんなケースなのか、具体的に見ていきます。

清水 香

執筆者:清水 香

火災保険の選び方ガイド

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約款の「保険金を支払わない場合」に記載あり

火災保険金が受け取れないケースもある!

火災保険金が受け取れないケースもある!

火災保険は、火災をはじめとした不測の事態でマイホームや家財に被害を受けたとき、保険金を受け取れるものです。火災保険はとかく「とりあえず入っておきさえすればいいだろう」という方も多いのですが、どのような不測の事態でも保険金を受け取れるわけではなく、なかには、保険金の支払い対象とならない不測の事態もあります。イザという時、慌てないよう、契約時などに確認しておきたいものです。

保険金が支払われないケースは、保険金が支払われるケースと並び、契約時に渡される「契約概要・注意喚起情報」や、火災保険証券と一緒に送られてくる「約款」や「契約のしおり」に記載されています。

なお、約款などで保険金の支払い対象外と定められていることを「免責(めんせき)」といいます。以下、どのような場合に保険金が支払われないのか、具体的に見ていきましょう。
 

戦争や騒乱、地震などによる被害は保険金が支払われない

セゾン自動車火災保険の「組立式火災保険(じぶんでえらべる火災保険)」の約款を例に見てみましょう。保険金が支払われないケースは、おおきく2つのカテゴリに分けることができます。

まず、保険金の支払いがどの程度の規模になるかが想定しづらく、場合によっては保険会社が保険金の支払いをまっとうすることが著しく困難になるような、巨大災害のカテゴリです。

具体的には、「戦争、外国の武力行使、革命、政権奪取、内乱、武装反乱その他これらに類似の事変または暴動」が記載されています。あわせて、「核燃料物質(使用済み燃料含む)の放射性、爆発性その他有害な特性またはこれらの特性による事故」についても記載があります。

つまり、これらが原因でマイホームが損害を被っても、保険金を受け取ることはできないということ。なお「地震もしくは噴火またはこれらによる津波」による被害も、火災保険から保険金は支払われません。火災によって建物が焼失した場合でも、その原因が地震被害によるものだと、やはりNGとなります。ただし、火災保険と合わせ、地震保険の契約をしておけば、地震等による被害でも、最大で火災保険金額の50%までの保険金を受け取ることはできます。またいわゆる火事場泥棒や、被災した際の家財などの紛失も免責となっています。

 

「重大な過失」とは?

もうひとつは、契約者や被保険者の過失に関するカテゴリです。約款には「保険契約者、被保険者またはこれらの者の法定代理人の故意もしくは重大な過失または法令違反」で、保険金が支払われないと定められています。

少し、解説が必要でしょう。「重大な過失」とは、うっかりミス(軽過失)の対極の概念です。わざと(故意)ではないにせよ、気をつけないと大変なことになると予測されるにもかかわらず、注意を払わなかった場合が該当します。さらに火災保険における被保険者とは、建物の「所有者」のことを指しています。

以上をまとめますと、火災保険の契約者あるいは建物の所有者が、故意はもちろん、重大な過失により火災を起こした場合には、火災保険金は支払われない、ということになります。

ということは逆に、その家に住んでいる家族であっても、火災保険の契約者でも建物の所有者でもない場合には、故意あるいは重過失による事故を起こしても、保険金が支払われることになります。かつて、高校生が自宅に放火したという事件がありましたが、高校生が建物の所有者や火災保険の契約者であるケースはレアでしょうから、約款上は保険金が支払われるのかもしれません。

ただし、保険金が支払われたとしても、放火という犯罪行為による被害に対し、保険会社が支払った保険金分について、犯人への請求を起こさないわけはありません。とはいえ高校生に通常、弁済能力はないでしょうから、結局は親がそれを負担することになるとも考えられるでしょう。だとすると、たとえ保険金が支払われても、支払われないのと同じということになります。
 

小さな子どもの火遊びによる火災はどうなる?

子どもの火遊びには、くれぐれもご注意を!

子どもの火遊びには、くれぐれもご注意を!

上記の例と同様、子どもは通常、火災保険の被保険者ではありません。では火災保険金が支払われるかというと、火遊びをしたのが幼児の場合、問題は微妙になります。なぜなら、小さな子どもの監督責任は親にあり、親(被保険者)が監督責任を怠ったことが重大な過失とみなされ、そもそも保険金の支払い対象外となる可能性もあるからです。

いずれにしろ、「子どもがやったこと」と、簡単に保険金が支払われるほど単純ではありません。こうしたことが起きないよう、くれぐれも注意しなければなりません。

このように、被保険者の故意または重大な過失とみなされれば、自分の家には火災保険金は支払われません。ただし、隣家など第三者への延焼被害については、重大な過失の場合であっても個人賠償責任保険から第三者に保険金が支払われます。

最後に、通常は、火災保険料を支払う前に起きた事故にも保険金は支払われません。保険契約が成立するためには、申込書への記載だけでなく保険料の支払いが必要。契約手続きはできる限り速やかに行うことが大切です。

【関連リンク】
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