スウェーデンの絵本作家エルサ・ベスコフは20世紀前半に心暖まる数多くの作品を残した絵本作家です。この季節にぴったりの『ペッテルとロッタのクリスマス』他、ベスコフの絵本をご紹介します。
エルサ・ベスコフの絵本
エルサ・ベスコフは1874年にスウェーデンで生まれました。小学校の絵画教師を経て牧師である夫と結婚。その後、絵本や児童書の挿絵の仕事を始めます。1953年に亡くなるまで数多くの絵本を残しました。ベスコフの絵本のいちばんの魅力は、「日々の暮らし」の丁寧な描写です。「いつもクッキーを焼いているおばさん」、「毎日ミルクを届けてくれるおくさん」など、人々がそれぞれ自分の得意なことで、日々の暮らしを立てている。「労働」の仕組みが複雑になってしまった現代社会において、その単純さは大人にとってもハッとさせられます。
その「日常のリズム」とも言うべきものは、ぜひ幼児期の子どもに伝えていきたいものです。
クリスマスとクリスマスの間に
『ペッテルとロッタのクリスマス』福音館書店 \1,365(税込) |
「ことしのクリスマスイブは、きょねんよりも、もっとたのしかったとおもいました。だって、プレゼントをもらうばかりでなく、みんなにもあげることができたんですもの(『ペッテルとロッタのクリスマス』より)。 」
クリスマスとクリスマスの間に、子どもは成長する。そのシンプルな事実に大人も心を動かされます。
「あたらしいふく」をどうやって手に入れる?
『ペレのあたらしいふく』福音館書店 \1,155 |
服を作るためには、さまざまな人の手がかけられていること。そして、それはただお願いして作ってもらうものではなく、自分にできること(=労働)を支払いながら、得ていくものだということ。
「子どもの経済教育」というと「お金」の話に終始しがちですが、この絵本でははたらくということが、このうえなくシンプルなお話で表現されています。
北欧に伝わる「こびと」さん
『もりのこびとたち』福音館書店 \1,365 |
『もりのこびとたち』に登場するこびとの一家も、こりすやかえると遊んだり、きのこや木の実を集めたりと、自然の恵みを受けて暮らしています。
そしてその「丁寧な暮らし」は、ベスコフの他の「人間の登場する作品」ともつながっています。「自然」と「暮らし」がきっぱりと分かれておらず、ゆるやかにひとつになっているこの世界こそが、ベスコフ作品の真の魅力なのでしょう。
ベスコフの作品は最近の絵本に比べると文字が多め(対象年齢は、「読んであげるなら」で4~5歳)なので、一見「うちの子にはまだ早いかな?」と思われるかもしれません。でも、登場する子どもたちが自分たちの意思で行動を始めるというストーリーであるため、聞いているうちに子どももぐんぐんひきこまれていくようです。
子どもにとっても大人にとっても、思い出に残る1冊になりそうです。
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