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子どもの絵の魅力~評価の高い絵とは?(2ページ目)

どんな絵が高く評価される絵なのか、一般の人にはわかりにくいところだと思います。そこで、子どもの絵を審査する立場でいらっしゃる東山教授にお話をうかがいました。

上野 緑子

執筆者:上野 緑子

幼児教育ガイド

子どもの絵を審査する際、留意する点

例えば、小学校3年生の子が小学5年、6年のレベルの絵を描いても、入選には推奨しますが、特選などには推奨しないようにしています。そうしなければ、絵の内容がどんどんエスカレートしていくので、教育的によくないことと、それよりもっと大事なことは、小学3年生であれば、小学3年生らしい発想や内容の豊かな作品を選ぶように心がけています。

子どもの絵を見る時は、大人の目線ではなく、子どもの目の高さで、絵を通して、子どもの考えを発見し、感動する気持ちで見るようにしています。

大人は、ともすると写実的に正確に描いた絵をよしとする傾向があり、上手下手で絵を見る傾向があります。たとえ、その子の絵が拙いものであっても、下手だとか才能がないと言ったりしないようにしています。

子どもには無限の可能性があり、発達の時期もそれぞれなので、ある時期から急にユニークな絵を描くことだっていくらでもあるのです。

子どもの絵を見るとき、親や先生はどのように対応すればいいのか

  • 「何を描いたの?」と、好奇心を持って話しかける
  •  
  • 子どもの心情を受け止め、共感し、描いたものを理解し、認める心が大切
  •  
  • 子どもの絵の説明をゆっくり聞いて、たとえば「おとうさんと自転車に乗っているところなの」と、子どもが言うと、「そう、おとうさんと自転車に乗っているところなのね」と、オウム返しで相槌を打つ
  •  
  • 「走っている感じがよく出ているね」など具体的によいところをほめる
  •  
  • もう少し工夫したらよいなという点は、良い点をほめた後で、「後ろの様子をもう少し付け加えると、もっとよくなるよ」などと、ヒントを与えるどもにとって新しい方向付けにもなる。
  •  
  • もっと工夫や努力が必要な時は、「だめだ」「○○しなさい」といった否定語や命令語を使わないで、「どうしたらいいかな」と、子どもが考えるような話し方をしたり、「こうしたら、もっとよくなるよ」というような肯定語や推奨語、あるいは、「あなたならどうする?」と、子どもから考えを引き出すような話し方をしています。

これらの、「共感する」、「具体的によいところをほめる」、「子どもから考えを引き出す」などは、絵を見るときに限らず、子育て全般に関しても言えることですね。



今回、この記事で、「よい絵」とは、どんな絵であるかご紹介しましたが、そういう絵を子どもに描かせて欲しいというのではありません。大人が「よい絵」とはどういうものか理解した上で、子どもの絵を見ていただき、上でも述べていますように、子どもから考えを引き出すようなヒントを与えていただければと思います。

【参考文献】



「子どもの絵は何を語るか」
東山明・東山直美
(NHK BOOKS)

<目次>
人類はなぜ絵をかくのか
子どもの絵が語るもの
子どもの絵の発達の道筋(誕生から8歳ごろまで・8歳から18歳ごろまで)
立体や空間をどう認識し表現するか―三歳児から小学六年の絵の表現の変容
二人の子どもの成長記録から
子どもの絵から古代人の絵を見る―部族の絵や現代美術の絵との共通性
子どもの絵の見方・考え方―どうアドバイスすればよいか


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