東山明先生
神戸大学名誉教授
園田学園女子大学教授
美術教育・子ども文化論
例えば、スポーツの競技なら、勝敗やタイム、長さなどの数値で能力が表されるので、誰が優秀であるかは、誰の目にも明らかです。

しかしながら、「絵」の場合は、どうでしょう。誰が見ても明らかな数値で評価されるわけではないので、どんな絵がいわゆる「よい絵」なのか、一般の人にはわかりにくいところだと思います。

そこで、私の美術教育の恩師である神戸大学名誉教授の東山先生に「よい絵」とはどんな絵なのかをうかがいました。


子どもの絵の魅力と必要性

  • 子どもにとって、絵を描くことは、自分の思ったこと、考えたことを伝えるコミュニケーションの手段のひとつで、生きている証のようなもの
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  • 見たり発見したり想像したりしたことを絵で表現することを繰り返す中で、自分の考えをまとめたり、蓄積したりしていくことで、自我を育む
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  • 自発的に無意識に楽しんで絵を描くことは、人間として生きて行く切実な営みである

評価の高い絵とは

  • 感動や驚きが絵の中に描かれていて、生き生きとして新鮮で生命感が躍動している絵
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  • イメージが豊かで、自分の考えたことや思ったことが絵の中にあり、絵の内容が豊かで高まりのある絵
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  • 色や形や構図、あるいは絵の中に、工夫したり格闘したり創造したりしたものがある絵
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  • 人や花や家などがパターン化していないで、表現には動作や特徴があり、花や家などの形に変化のある絵
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  • 絵の発想の仕方や絵の表現の中身に、その子なりの思いや工夫がある個性のある絵
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  • 心をこめて集中し、全力を出した、その子なりのこだわりのある絵
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  • 年齢相応に工夫し、内容が豊かに描かれている絵(絵の表現は年齢によって異なるので、その発達年齢の先をいく絵がよいのではない)
これらの要因の全てではなく、いくつかが絵の中に感じられる絵がよい絵と言えます。


「父と自転車で散歩」(5歳児)
父と自転車に乗って散歩に行った。
三輪車のペダル、チエーンをバラバラ
に認識しているのが楽しい。

「ワニ」(小学1年)
口は横から、目は正面、足は上からと
いろいろな視点から見たように描いて
いる。ワニの特徴をうまく組み合わせ
て描いている。