エンゼルフィッシュの飼い方とは?
<目次>
アルタムエンゼル 非常に大型になるエンゼルフィッシュの原種の一つ。飼育はやや難しく初心者向きではないが、スタイルがよく野趣あふれる魅力的なエンゼル。 |
エンゼルフィッシュの飼い方とは?
観賞魚としての歴史が古く、天使の魚と呼ばれるだけあって、その美しい容姿から人気の観賞魚です。南米大陸のアマゾン川水系が故郷で、スカラレ種、アルタム種、レオポルディ種の3種が原種として知られています。全ての原種が観賞魚として流通していますが、季節性があり、またごく少量が流通するにとどまり価格も高価です。ブラック・ベールテール・エンゼル 黒い体色のブラックエンゼルに、ベール状に伸長する尾びれを取り入れられたエンゼルフィッシュの改良品種の一つ。 |
気の荒いことで有名なシクリッド科に分類されるエンゼルフィッシュは、同科の中では比較的大人しい魚です。そのため温和と紹介されることがありますが、一般的にはややきつい魚。口に入ってしまうサイズの魚は食べますし、同種間、もしくは近縁種間での執拗なケンカは稀ではありません。
水槽のサイズ
幼魚のうちであれば、60cm水槽で数匹飼うことも可能です。しかし、15cmほどに成長するため、成魚を複数飼うのであれば最低でも90cm以上の水槽が必要です。ペアのみであれば標準サイズの60cm水槽でギリギリ何とか。出来れば、同じ60cm水槽でも、奥行き高さが45cmあるとベストです。伸長する優雅なヒレを楽しむためにも、ゆとりのある水深が必要です。また同種間で小競り合いが尽きないので、水槽の大きさにゆとりがあれば、弱い個体が逃げ込めるスペースを確保できることも見逃せません。
エンゼルフィッシュに適したフィルター
それなりに餌を食べるので、当然排泄量があります。極端に能力の高いフィルターを必要とはしませんが、能力に定評のあるフィルターが良いでしょう。一般的な外部フィルターや上部式フィルターであれば問題ありません。比較的簡単に産卵を楽しむことができるため、いずれのフィルターを使用するにしても、生まれたばかりの稚魚を吸い込まない工夫ができるフィルターが良いでしょう。
エンゼルフィッシュが好む水
本来アマゾン川水系に分布するエンゼルフィッシュは、弱酸性の軟水を好みます。ただし、水質への適応範囲は広く、pH5~pH8の範囲であれば飼育は可能です。しかし、状態よく飼うのとは別なので、中性~弱酸性付近を維持するように心がけてください。水温は一般的な熱帯魚と同じで、23~28℃の範囲で構いません。繁殖目的の場合、代謝を上げ成長を促すのであれば、28~30℃で管理する場合もあります。
エンゼルフィッシュの餌
冷凍赤虫 健全な成長を促すためにも、ぜひ補助食として与えたい各種冷凍飼料。中でも冷凍赤虫は手軽に与えることができるので、定番の餌です。 |
どんな魚と混泳可能?
売られているサイズもまちまちで、500円硬貨ほどの幼魚か、全長15cmほどに成長した成魚かでも一緒に飼える魚は異なります。基本的に余り小さな魚とはダメ。熱帯魚としては中型魚の部類に入るので、同程度の温和な魚。カージナルテトラなどの小型テトラでも、成魚サイズであれば混泳可能です。コイの仲間や小型のナマズの仲間、特にエンゼルフィッシュを攻撃することなく、口に入ってしまうようなサイズでなければ問題ありません。エンゼルフィッシュの繁殖
エンゼルフィッシュの繁殖は比較的容易で、状態よく飼ってさえいれば、特に水質を調整したりすることなく産卵まではこぎつけます。幼魚のうちから複数匹を状態よく育てていくと、その中から仲の良い2匹が現れます。2匹で行動し他の魚を追い払う行動を示すようになれば、それが産卵の前兆です。エンゼルフィッシュの繁殖行動は、典型的なシクリッドの気質産卵でアマゾンソードのような幅広の水草や流木の表面などに卵を産み付けます。
気に入った場所が見つかると、ペアで口を使って掃除をし、しばらくすると産卵を開始されます。メスがお腹をこすりつけるように卵を産み付けていき、その後、同じようにオスが放精していきます。特に問題なければ、口で卵の掃除をしたり、ヒレを使って新鮮な水をおくったりと、甲斐甲斐しくペアで面倒をみます。孵化してからも、口を使って安全な場所に稚魚を移動したりと献身的で、また稚魚を引き連れて泳ぐ姿は繁殖の醍醐味でもあります。
ただし、環境的に子育てに適していない(水槽内外の環境など)とペアが判断した場合、産みつけたばかりの卵を食べてしまうことも珍しくありません。
孵化して数日もすれば、卵黄を吸収して自由遊泳を開始します。そのタイミングで、孵化直後のブラインシュリンプを与えます。一日数回、ブラインシュリンプでお腹がオレンジ色に膨れるまで与え、その後、刻んだイトミミズ、砕いた人工飼料とシフトさせていきます。
一度の産卵数は、数百匹以上とかなり多いため、計画的な繁殖が必要です。全ての稚魚を一般家庭で育て上げることは無謀で、また素人が繁殖させた魚は商品価値が無いことが多く、観賞魚店で引き取ってくれることは稀だと思ってください。酷な言い方ですが、全て育てあげようとせずに、適度に間引き数を調整することが大切です。
野生のエンゼルフィッシュ
ここまで説明してきたのは、全て養殖されたエンゼルフィッシュのことで、少数販売される採集個体には当てはまらないことが多いです。採集個体は、水質に対してシビアであることが多く、現地に近い水質での管理が求められます。同じエンゼルフィッシュでも、随分デリケートな魚だと思ってください。またアルタムエンゼルは、エンゼルフィッシュの中でも最大の大きさで、特に背ビレと尻ビレが著しく伸長するため、水深60cmほどの水槽が必要になります。繁殖例も少なく、飼っているだけで簡単に増えるようなこともありません。
他の2種の原種エンゼルでは、繁殖は可能なものの、デリケートな管理が求められます。野趣に富んだ魅力があるものの、どちらかと言えば上級者向きの魚になります。
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