“つながり”を大切にした場
「顔なじみになった方も増え、毎回、会うたびに、お子さんの成長が楽しみになってくるんですよ」と見守りサポーターさん
取材にうかがった日は、世田谷区ですでに子育て支援活動を5年間展開してきた「ママコモンズ」が常駐していました。
母子がくつろぐ座敷の一隅では編み物講座も開かれていて、希望者はボランティアで参加している編み物の先生から手ほどきを受けて、講座の間に小さい作品を1つ完成させます。
「出産後、初めて編み棒を持ったんですよ」という10ヶ月の男の子を連れたママが先生の指導を受けながら、ボトルホルダーを編んでいました。その間、お子さんは見守りサポーターにあやしてもらったり、座布団に寝かされたり、ママのおひざで甘えたり。古民家ならではのつながりの中で、編み物を楽しむママたちの姿が見られました。
編み物のほかにも、ママカメラマンによる撮影会や、ぬか漬け作りなど、古民家ママスの活動に共感する講師(プロの方々、中にはボランティアスタッフの方も)による5つの講座が開かれているそうです。
「単発の講座を開催するのではなく、継続して関わってもらえるような“つながり”を大切にしています」
そう教えてくれたのは、ママコモンズの小長さんです。児童館の休館日で、赤ちゃん連れで気軽に行ける場所が少ない月曜日にこだわって開催をしているそうです。講座の最中も、講座に参加せずにくつろぐ利用者の姿がありました。お子さんの様子を見ながら、畳やソファでお茶をしながら、ママ同士で情報交換をするなど、いつも通りに過ごしていました。
ゆったりと過ごせる場の力
開放的な畳の部屋にテーブルがあると、自然と皆、そこに集まってきます。初めて会った同士でも距離がぐんと近くなるのも場の力でしょう
「ここは、場の力を感じますね。家の雰囲気に癒されるのか、ママたちもとてもゆったりと過ごし、初めて会った同士でも自然に言葉を交わしていきます。畳敷きの部屋なので転んだりしてもそれほど心配もないので、子どもたちも伸び伸びとしているようです。家の延長でマイペースに過ごせる雰囲気を提供できるように、私たちスタッフも心を配っています」と小長さん。
幼い子がいると、遠出が難しく、1日中、お子さんと2人きりというママも少なくありません。特に、初めてのお子さんで、パパは帰宅が遅く、育児相談の相手もいないという状態では、ママの方がストレスを抱えてしまいがちですよね。子育て支援施設は、そういったママたちが、ほんの一息つける居場所としての役割がありますが、そこが緑に囲まれた古民家というのは、その場の持つ力だけでもゆったりとくつろげるに違いありません。
児童虐待や育児放棄が大きなニュースとして流れる時代です。子育てを親だけの課題とせずに、地域がゆるやかにつながりつつ子育てに手をさしのべてくれると、子どもとの時間が豊かになります。子育て支援には、古民家のオーナーやスタッフたちのように居場所作りを通して子育て中の母子や家族を支援していくという役割もあるのですね。
天気の良い日は緑いっぱいの庭で、遊ぶこともできます
「代表の鈴木さんの“古民家”だからできたというわけではない。家の延長でくつろいで、情報交換をできるような居場所がいろいろな地域に広がってほしい”という考えが広まるといいな、と思います。そして、子育て中や子育て経験のある者が、地域で子育て支援に携わっていける場がもっと生まれるといいなと、私たちも思っています」
小長さんはそういいます。
古民家ママスは、水曜日を除く平日の10時から15時までの間、300円の利用料で利用することができます。講座は利用料とは別に実費が必要です。詳細は古民家ママスのブログでチェックしてくださいね。また、ママコモンズの詳しい情報はこちらになります。
シリーズ“子育てをシェアする”の第2回は、お母さんたちが創った手作り学童保育を紹介します。8月上旬頃、公開予定です。