住宅設計・間取り/住宅設計・間取りのポイント

夏を快適に過ごせる住宅の工夫 外構編(2ページ目)

「夏に過ごしやすい住宅」をテーマに、前回は建物について書いてみました。今回は建物の外、いわゆる「外構」についてどんな技術や工夫があるのか、考えてみましょう。

田中 直輝

執筆者:田中 直輝

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都市部においては敷地の中に庭を設けることが難しい場合が多いもの。こうなると、植栽を設けることが難しくなりますから、次の段階として建物の中に、自然を取り込むということになります。皆さんにご理解いただきたいのは、だから都市型住宅の場合は、非常に高度な提案が求められるということです。

打ち水や緑化も快適な住宅に効果あり

高度な提案といっても、そんなに難しい技術ではありません。例えば打ち水。夏の暑い時期に昔の人々は家の回りに水をまくことで、涼しさを得ていました。これを応用したものとしては、最近では雨水を利用した自動散水装置なども登場しています。打ち水に気化効果があり、清涼感を得られることをご存じだと思います。
ミサワホームの「次世代ゼロ・エネルギー住宅」蒸暑地仕様 (三重県亀山市)に採用されている自動打ち水装置。雨水を利用することで経済的で環境にも優しい

ミサワホームの「次世代ゼロ・エネルギー住宅」蒸暑地仕様 (三重県亀山市)に採用されている自動打ち水装置。雨水を利用することで経済的で環境にも優しい(クリックすると拡大します)

駐車場などのスペースを緑化するというのも有効的。通常はコンクリートやアスファルトで固めるところですが、芝を植えるという提案もあります。近年はタイヤに踏まれても大丈夫な芝や、施工法も開発されています。

建物の外壁に、ツタなどの植物を這わせるというのも一つ。駐車場の緑化も同様ですが、地面や壁面を緑化することで、それぞれの温度を建物周りのコンクリートなどに比べて低く保てるということ。最近は屋根緑化や屋上緑化の技術もずいぶんと進化してきました。

先人の知恵を生かした工夫を採り入れよう!

屋根緑化や屋上緑化の技術も進化している。写真は芝が張られた屋根緑化の事例(積水ハウスのゼロエミッションハウス)

屋根緑化や屋上緑化の技術も進化している。写真は芝が張られた屋根緑化の事例(積水ハウスのゼロエミッションハウス、クリックすると拡大します)

これらは、室内の温度が上昇するのを食い止める効果が期待できますから、そうすると過度にエアコンに頼らなくてもすみます。つまり、家の周りをできるだけ緑で覆うことにより、周辺より低い温度に保つことができ、建物全体の温度上昇を防ぎ、さらに風を室内に取り込めるということになるわけです。

これまで紹介してきた夏を快適に過ごすための技術や工夫は、すべて昔ながらの手法をアレンジしたもの。先人の知恵を応用したものです。今皆さんがお住まいの住宅であっても取り入れられる部分があります。例えば、開口部に簾(すだれ)を用いるのも一つの手ですよね。

例えば私は今、マンション住まいですが、ベランダや玄関回りに打ち水するだけで随分効果があり、夏でもエアコンをほとんど使わずに扇風機だけで過ごしています。ただ、騒音がひどくて、必ずしも快適な居住環境とはいえませんが…。皆さんもぜひ、何らかの工夫、チャレンジをされてみてはいかがでしょうか。

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