マンション物件選びのポイント/マンションの間取り

マンションの間取り研究(3) 風通しのよい間取り

外廊下型マンションの中住戸で典型的な田の字プランは風通しが得にくい面がありますが、ちょっとした工夫があれば改善できます。間取りを元に検証してみましょう(2014年5月改訂、2010年7月公開)。

井上 恵子

執筆者:井上 恵子

住まいの性能・安全ガイド

窓から入る自然の風は心地よく、体に優しい

窓から入る自然の風は心地よく、体に優しい

春から夏、夏から秋にかけ、1年のうち2/3は「自然の通風」を有難いと感じる季節です。自然の風は、冷たすぎず強すぎず、体にとても優しいのです。

家の中を風が吹き抜けるだけで、夏場クーラーにあまり頼らずに、心地よい涼しさを感じることができます。風通しの良い住まいは住まいそのものも傷みにくく、長持ちするので一石二鳥です。

 

風通しが期待できない例:
外廊下型マンションの中住戸

外廊下型マンションとは、住戸が横に一列に並び、その片側に共用の外廊下が配置されている形のマンションを言います(【図1】)。
【図1】外廊下型マンション。オレンジ部分が中住戸、両端が妻側住戸

【図1】外廊下型マンション。オレンジ部分が中住戸、両端が妻側住戸


今回「風通しがあまり期待できない間取りの例」として、この外廊下型マンションの「中住戸」をあげます。中住戸とは、左右を別の住戸に挟まれた位置にある住戸(図中オレンジの部分)のことです。

 

外廊下側の窓が開けられない

このタイプは、北側の共用廊下側及び南側のバルコニー側にそれぞれ窓があり、通風が取れそうで、実は取りにくい間取りなのです。

その理由は、共用廊下側の窓の「開けにくさ」にあります。窓のすぐ外側の共用廊下はマンションの住人が通ります。プライバシーや防犯上、この位置にある窓はなかなか開けにくいものです(【図2】参照)。

 

【図2】外廊下型マンションの中住戸の間取り例。外廊下(共用廊下)側の窓は開けにくい

【図2】外廊下型マンションの中住戸の間取り例。外廊下(共用廊下)側の窓は開けにくい


外廊下側の窓が開かずの窓である以上、バルコニー側の窓を開けても風は入ってきません。自然の通風の取り入れのためには、風の入り口と出口が必要なのです。

 

ひと工夫あれば、通風が期待できる

全く同じでも、ひと工夫あれば改善される間取りをご紹介します。それは吹き抜け光庭の活用です。【図3】のように外廊下側の窓に面して吹抜けまたは光庭などがあれば、そこが居室(洋室)と外廊下の間のワンクッションとなり、窓を開けやすくなります。それだけで通風も防犯性もぐんとアップします。

【図3】外廊下側に光庭を設けた間取り例。ワンクッションあるので窓を開けやすい。

【図3】外廊下側に光庭を設けた間取り例。ワンクッションあるので窓を開けやすい。


この間取りのもう一つの良い点は、玄関前にアルコープができ、玄関まわりにゆとりが生まれていることです。全く同じ間取りでも、【図2】と比べ【図3】の方が、より快適に暮らせることがおわかりいただけたでしょうか。

次のページで外廊下型の妻側住戸(端っこにある住戸)の通風状況を見てみたいと思います。
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