税務相談などで納税者の方からよく聞くのが、「難しくて自分では申告できない」という言葉です。皆さんも「税金が必要なのは分かるけれど、仕組みをもっとシンプルにできないか」と思ったことはありませんか?

実は税金の種類や仕組みが複雑なことには理由があります。例えば、車が走るための道路を作ろうと考えたときに、その費用は車を利用する人が負担するほうが公平です。このような考え方を受益者負担といい、自動車税などにはこの考え方が採用されています。

また、土地などの新たに作り出すことが困難なものについては、その持ち主が使いもしないし、売りもしないということでは、本当に土地を使いたい人たちが困ってしまいます。そこで固定資産税を課税することで、非効率なまま資産を保有することを困難にしているわけです。

このように、税金の種類がある程度多くなってしまうのは、「課税する理由」が異なるという背景もあり、やむを得ない部分もあるのです。上記以外にも色々な考え方があるのですが、基本的には納税者にとって公平な税制でなくてはなりません。

ところが、もっとも難しいのが公平とは何なのか?ということでしょう。イギリスではサッチャー元首相が国民一人一人に均等に課税するコミュニティー・チャージ(日本語では人頭税などと訳されます)を導入したことで国民の反発を買い、その後の辞任の一因にもなったようです。
しかし、全員が同じ金額の税金を負担するのですから、ある意味では公平と言えないこともありませんし、日本でも住民税(道府県民税と市町村民税)には均等割という名前の人頭税が存在しています(ただし、1人年間2~3千円ですが…)。

それでは、払える人がたくさん税金を納めればよいのかと言うと、「せっかく一所懸命働いたのに」と思う人は当然面白くありませんから、なかには海外に住所を移してしまう人もでてきます。こうなると優秀な人材の流出が加速し、結果的には日本という国の力を弱めてしまうことにつながりかねないため、あまり高額所得者に負担を集中させることも考えものでしょう。

このように、なるべくバランスをとりながら適度な負担配分をしようとするため、どうしても税制というのは複雑になってしまうのです。

とは言っても、平成11年に少子化対策として導入された年少扶養親族(控除額が10万円アップしていました)という制度が翌年すぐに廃止になるなんて、少しいいかげんな気がしませんか?
政治家の皆さん、税制は票集めの道具ではありませんよ。
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