証券税制とは何か
証券税制とは、上場株式等を所有していたときの配当にかかる税制や株式を売却した際の譲渡益にかかる税制の総称のことを指します。上場株式等とは、金融商品取引所に上場されている株式(ETF、J-REIT、ベンチャーファンド及びカントリーファンドを含む)や店頭売買登録銘柄として登録されている株式のことを指すので、一般に、未上場以外の株式全般ととらえておくといいでしょう。
証券税制のポイント1:軽減税率が適用される
証券税制全体では「貯蓄から投資へ」という世の中の潮流を無視することはできません。つまり、証券税制に様々な恩恵を与えることによって、上場株式への投資を促し、経済の下支えになってもらおうという考えです。その1つ目が軽減税率です。現行税制では、平成25年までは所得税7%、住民税3%の計10%の軽減税率が適用されています。
※平成25年は震災復興の財源確保のため所得税7.147%、住民税3%となります。
※平成25年年末を以って、軽減税率が打ち切られる方向となっていますが、日本版ISAという新たな制度の導入が予定されています。
軽減税率の前提として、まずは総合課税と分離課税という税金の課され方を掴んでおきましょう。
総合課税とは、給与所得の上に不動産所得を加えるといったように、所得同士を総合してから税金を課す方法のことです。一方、分離課税とは、総合課税のように所得を合計することはなく、配当所得だけ、株の譲渡だけというように所得を単独で取りだし、分けて離して税金を課す方法のことをいいます。証券税制はこのうち分離課税方式が基本となると考えていいでしょう(配当所得は本来、総合課税グループなのですが軽減税率が課され、申告不要とされているので分離課税をベースとして必要に応じて総合課税を選ぶことができるという押さえ方の方がいいでしょう)。
よって、高所得者であってもこの所得税7%・住民税3%という軽減税率は他の所得と総合されず課税されるのです。総合課税された場合の所得税・住民税の最高税率の合計が50%となるのに比べると大きなメリットといえます。
証券税制のポイント2:損益通算ができる
証券税制のポイントの2つ目は損失が生じることを前提としている点です。株式への投資はリスクがつきものなので元本保証されていません。株式を売却した際の譲渡益が生じることもありますが譲渡損が生じることもあります。証券税制では譲渡損が生じた場合、まずはその年分の株式の譲渡益や配当と相殺することとなります。この相殺の仕組みのことを損益通算といいます。
さらにその年分の株式の譲渡益や配当と相殺しきれない場合、その損失を翌年以降3年間持ち越して、新たな年分の株式の譲渡益や配当と相殺することも可能です。損失を翌年以降3年間持ち越して相殺することを繰越控除といいます。ただし、この繰越控除を使う場合には、損失が生じた年分から損益通算する年分まで連続して確定申告書を提出することが義務付けられています。実務上、注意したいポイントです。
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