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株取引、申告すべきかの判断視点<1>(2ページ目)

一説によると日本のオンライントレード人口は400万人と言われています。特に特定口座で源泉徴収されている人、あまり「おまかせ」にしないほうがいいかも?です。

田中 卓也

田中 卓也

税金 ガイド

税理士であるガイドが避けては通れない税金の問題について、専門用語もかみくだいてわかりやすく解説。

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特定口座のメリット・デメリット

源泉徴収済みの特定口座だからってほうっておくと?
特定口座は、源泉徴収ありと源泉徴収なしとに分かれますが、源泉徴収なしを選択した場合には証券会社から年間取引報告書なるものが送られてきます。
ただし、税金は差し引かれていませんので、その年間取引報告書に基づいて、原則、確定申告をしなくてはいけないこととなります。

特定口座の源泉徴収ありを選択した場合には、証券会社が譲渡益を計算し、その税金を源泉徴収してくれるので、それで課税関係が終了します。
つまり、株の損益に対してことさら確定申告は必要ないというわけです。

株取引、申告したほうがオトク?かどうかの判断する視点


こんなふうに書くと一見、「では、特定口座の源泉徴収ありを選択するのが、損益の計算も税金の徴収も一番面倒がなくていいや」と考えるかもしれませんが、税金の有利・不利を考えるとそうでもありません。

ポイントとなるいくつかの視点を紹介しておきます。

定率減税が考慮されていない


すでに、平成18年から定率減税が半分に縮小され、平成19年からは全廃となる予定ですが、平成17年分の確定申告については従来の定率減税が継続されています。
しかし、源泉徴収ありの特定口座では定率減税が考慮されていないのが現状です。
高額な給与所得者などで定率減税の上限いっぱい(所得税25万円、住民税4万円)を使ってしまっている人なら別ですが、課税所得が790万円未満の給与所得者であれば、結果として、この定率減税の上限を使いきれていないので、定率減税を有効活用するために確定申告したほうがオトクなのです。

年間の損益がマイナスとなっても持ち越せない


株の投資というのはリスクも伴います。
当然、年間の損益がマイナスになることもあるわけです。
この場合、譲渡損失の繰越控除の特例といって平成17年分に損失が計上されたのであれば平成18年から平成20年までの株などの売買取引と通算することができるのです。
しかし、この特例を受けるためには、株の年間の損益がマイナスになった年分から、株の取引の有無に関わらず連続して確定申告書を提出する必要があり、源泉徴収ありの特定口座でほうっておくとこの優遇税制の恩恵が受けられないのです。


株の取引の確定申告しなければいけない?したほうが有利?


このように、源泉徴収ありの特定口座は事務手続きが簡素化できる点では非常にすぐれていますが、定率減税を有効利用するため、優遇税制を有効利用するためにあえて「確定申告する」ほうが有利となる場合もあるのです。
つまり、株の税制を有利に活用するためには、株に関する優遇税制のみならず、税金が計算される仕組みを理解していることがもとめられます。

次回は、源泉徴収ありの特定口座を開設した人の場合で、確定申告したほうが有利なケース・不利なケースに絞って解説していきます。
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