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交通費込みの給与支払は会社側も不利なのに(2ページ目)

交通費込みで給料を支払うと交通費部分も年収にカウントされ、もらう側は所得税と住民税が高くなります。でも、税務上、不利な取扱いを受けるのは会社側も同じなのです。

田中 卓也

執筆者:田中 卓也

税金ガイド

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交通費は?給料は?消費税ではどうなる?

仕入れ税額控除が大きければ・・・
今度は見方を支払う側にに立ってみてみましょう。
消費税法上、交通費のうち通常必要と認められる範囲のものは仕入税額控除の対象となりますが、給料は仕入税額控除の対象とならないのです。

たとえば、給料220000円に通勤費21000円加算して241000円支払う場合には、仕入税額控除として1000円差し引けますが、給料241000円として区分せず支払ってしまうと、1円も仕入税額控除できません。
前ページの事例にあてはめると交通費込みで支払った場合は63000円のグループには1円もはいってこないということになるのです。

消費税法上の課税取引とは


実務上、消費税の計算においては、実際に消費税を預かっているか、実際に消費税を含んで払ったものかということはさほど重要ではありません。
消費税法の課税取引というのは消費税法で定まっているからです。
消費税法上の課税取引のうち、仕入税額控除の対象とできるものは、原則
・ 国内において行なわれるものであること
・ 事業者が事業として行なうものであること
・ 対価を得て行なうものであること
・ 資産の譲渡等であること
といった4要件を満たす取引で、非課税取引に属さないものであることになるのですが、給料の支払いは、もらう側が事業者ではないので、消費税法上、不課税取引という取扱いを受けてしまうのです。

塵も積もれば・・・


交通費を区分経理していない会社はそのような経理方法が常態化していることが予想されます。給料220000円に通勤費21000円加算して241000円といった経理が100人に行なわれていれば、100人×1000円×12月=120万円の仕入税額控除ができるのですが、給料241000円として区分せず支払われている経理方法が常態化している会社であれば、みずから120万円の仕入税額控除できる権利を放棄していることにもつながり、結果として、支払わずに済んだ消費税を納めることにもなるのです。

「交通費込み」での給料の支払いは結局??


結局のところ、「交通費込み」で給料を支払うということは、このように、もらう側にとっては所得税・住民税が高くなり、支払う側にとっては仕入税額控除の対象とはできないため、余計な消費税を納めることにもつながるのです。

「派遣」の問題に注目が集まっているいま、自社の給料の支払方法も一度チェックしてみてはいかがでしょうか。

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