■家財、建物の総合保険(満期戻総合保険)
家財・建物の総合保険の補償内容は、火災、落雷、破裂・爆発、風災・ひょう災・雪災、水漏れ、別居者家財の損害、建物外部からの物体の落下・飛来等、騒じょう・労働争議等に伴う破壊行為・暴力行為、盗難、持出し家財の損害、家財の不測・突発的な事故等の損害に対する補償が一般的です。「あんしんニューダブル」は、これらの補償以外に「地震火災を補償、1年毎に契約金額が5%ずつ自動的にアップする」という特徴があります。
この保険、一時払いで満期時には払込保険料を上回る満期返戻金があります。一時払い=掛け捨てではない――がポイントです。
■利回りは0.285~0.881%程度
一時払いの保険で保険期間が5年を超えるものは保険商品とみなされ、利益(=満期返戻金?払込保険料)は一時所得扱いになる。これは損保ジャパンの「スーパーXP?」でご説明しました。
では、税制面でメリットのある保険期間6年の「あんしんニューダブル」の利回りはどの程度なのでしょう。
【家 財】
構造 | 保険金額 | 一時払保険料 | 満期返戻金 | 利回り |
耐火 | 500万円 | 1,442,150円 | 150万円 | 0.668% |
700万円 | 2,019,010円 | 210万円 | 0.668% | |
1000万円 | 2,884,300円 | 300万円 | 0.668% | |
木造 | 500万円 | 1,474,700円 | 150万円 | 0.285% |
700万円 | 2,064,580円 | 210万円 | 0.285% | |
1000万円 | 2,949,400円 | 300万円 | 0.285% |
【建 物】
構造 | 保険金額 | 一時払保険料 | 満期返戻金 | 利回り |
木造 | 1000万円 | 2,917,600円 | 300万円 | 0.47% |
耐火 | 1000万円 | 2,849,300円 | 300万円 | 0.881% |
耐火構造の場合、建物の契約では年平均利回り0.881%、家財では0.668%という高利回りになりました。この利回りならばネット銀行の定期預金と比べても遜色はありません。
*期間5年 預入金額300万円以上の定期預金金利
オリックス信託銀行 0.60%
あおぞら銀行 0.35%
ここで更に税制面の有利さ――他の一時所得と合計した一時所得額が50万円以下の場合は非課税――が威力を発揮します。定期預金は利息に対し源泉徴収20%です。手取りの利回りから考えると……。
■掛け捨て分をプラスすると
家財保険や火災保険には、ほぼ全世帯が加入していると思われます。しかも掛け捨てタイプの保険を選ぶ人が多いようです。
では、全労済の火災保険に加入している人が、「あんしんニューダブル(保険期間6年)」に加入した場合、どの程度手元資金が潤うか考えてみましょう。
【条件】
耐火構造の建物。契約内容:建物1000万円、家財500万円
手元資金は430万円
あんしんニューダブル | 全労済(火災共済+自然災害共済) | |
保険料 | 4,291,450円(一時払い)(建物:2,849,300円 家財:1,442,150円) | 13,500円(1年間) |
保険期間 | 6年 | 1年 |
満期保険金 | 450万円 | ー |
6年後手元資金 | 4,508,550円 | 4,219,000円+運用益 |
*全労済では、(手元資金―保険料)を6年間運用した運用益が加算される。
○あんしんニューダブル
手元資金=(430万円?4,291,450円)+450万円=4,508,550円
○全労済(火災共済+自然災害共済)
1年間の保険料=13,500円
6年間の保険料合計=13,500円×6=81,000円
手元資金=430万円?81,000円+運用益=4,219,000円+運用益
○6年後の手元資金の差=4,508,550円?(4,219,000円+運用益)=289,550円?運用益
*配当金や還付金、年払による割引等は考慮していない。
賃貸であれ持家であれ、家財や建物の火災保険(総合保険)には加入せざるを得ません。それならばできるだけ有利な保険に加入したいものです。「有利」の選択基準は、保険料が安い、補償内容がいい等などでしたが、ここに資産運用という新たな要素が加わりました。
しかし、保険商品は、途中解約すると元本割れの可能性が高い、ペイオフ対象ではない、保険会社が倒産等の場合貯蓄性の保険がカット率が高い傾向にあるなど銀行の定期預金では考える必要のない不安要素があります。保険商品で無駄なく有利に資産運用をするためには、保険会社の格付けなどを参考に不安要素をチェックすることが必要です。
また、保険の掛け過ぎは無駄! 特に建物・家財の保険では掛け過ぎは無意味です。新たに保険契約する場合は、必ず既存の保険契約の内容を調べてからにしましょう。