夫に先立たれた妻にとって強い味方の制度

寡婦に対する年金の加算については、経過的寡婦加算という制度もある

寡婦に対する年金の加算については、経過的寡婦加算という制度もある

遺族厚生年金には「中高齢寡婦加算」という加算制度が存在します。遺族の生活の柱である遺族年金に加算があるのはありがたいですが、「誰が、いつ、どれくらい」受け取れるのか。これが気になるところです。

そこで、今回はこの加算制度について詳しくみていきたいと思います。

名称を詳しく見てみると、「夫に先立たれた女性について、中高齢の時期に年金が加算される制度である」ことがわかります。この時期の女性は就労が難しい場合も少なくなく、収入の確保が課題。この時期の収入のバックアップをしてくれるのがこの制度です。遺族厚生年金に加算されるこの制度は、ちょっと地味だけど、強い味方といえます。

遺族基礎年金は支給対象者と支給期間が限られている

夫が死亡した場合、妻に遺族年金が支給されます。この遺族年金には国民年金から支給される「遺族基礎年金」と厚生年金から支給される「遺族厚生年金」があり、それぞれに受給要件が定められています。

「遺族厚生年金」は原則、再婚しない限り一生涯受け取れます。しかし「遺族基礎年金」については、受け取れる遺族の範囲が「子のある配偶者」または「子」に限られています。したがって、夫が死亡した当時、子供がいないと「遺族基礎年金」を受け取ることができません。また、子供がいても年金法上の「子供」は18歳年度末まで、となっていますので、子供が18歳年度末を迎えると遺族基礎年金は打ち切りになってしまいます。

遺族基礎年金は子供が1人いた場合、年額100万4600円(平成27年度)が支給されます。これが受け取れない、あるいは途中で打ち切りになってしまうと困りますね。

なお、平成26年4月から、子のある「夫」も遺族基礎年金を受ける資格を得ることになりましたが、「中高齢寡婦加算」は妻に限られます。

年金の空白期間を埋める役割

通常、夫が死亡した後の妻の遺族基礎年金と遺族厚生年金の関係は下図のとおり。子供がいる場合もいない場合も、国民年金部分について、一定の期間の「支給なし期間」、いわゆる「年金の空白期間」があることがわかります。
厚生年金、国民年金とも需給用件を満たしている前提

厚生年金、国民年金とも需給要件を満たしている前提

この部分を受ける役割を果たすのが「中高齢寡婦加算」です。図で示すと以下のとおり。中高齢寡婦加算が、前述の「年金の空白期間」を埋めてくれていることがわかります。
中高齢寡婦加算のイメージ図

中高齢寡婦加算のイメージ図


20・30代の人は遺族給付の内容を要チェック

この中高齢寡婦加算は遺族厚生年金に加算されるものです。大前提として、遺族厚生年金を受け取っていることが必要です。そして「寡婦」加算ですので女性限定となります。

その前提条件をクリアした上で、

・子がいない場合は、夫の死亡当時40歳以上65歳未満であること
・子がいる場合は、40歳時点で遺族厚生年金と遺族基礎年金を受けていたが、子が18歳年度末(一定の障害の状態にある子の場合は20歳)に達したため、遺族基礎年金を受給できなくなった

という要件が必要となります。

加算される額は、年額58万5100円(平成27年度)です。

20・30代の人は、子供がいないと加算の対象となりませんし、20代についてはさらに「30歳未満の妻の遺族年金の5年間で打ち切り」となります。万一の場合の収入確保について、しっかり検討しておきたいところです。

【関連記事】

30歳がターニングポイントになった遺族年金