年金/遺族年金の仕組み

遺族年金って、要件によって格差がある(2ページ目)

遺族年金は、国民年金(遺族基礎年金)と厚生年金(遺族厚生年金)で受け取れる遺族に「格差」があります。また年金額については、金額が明確な遺族基礎年金に対し、遺族厚生年金は平均給料や加入期間によって金額が変わります。さらに、遺族厚生年金は要件によって計算方法に「格差」が存在します。

和田 雅彦

執筆者:和田 雅彦

年金ガイド

  • Comment Page Icon

遺族厚生年金額を左右する要件とは?

画像の代替テキスト
短期にも長期にも両方該当する場合は、受け取り額が多いほうで計算してもらえるので、ご安心を!
遺族厚生年金の不明瞭さの原因の一つは、年金額が死亡した人の「平均給料」によって変わること。遺族基礎年金の金額が決まっていることに比べると「不明瞭」ですね。

もう一つの原因は、要件によって年金の計算方法が異なることにあります。これが結構大きな差になることもあるのです。

それでは遺族厚生年金の主な支給要件を確認しましょう。要件は大きく2つに分かれます。
  1. 厚生年金保険に加入中に死亡したこと(短期要件)
  2. 老齢厚生年金を受給中(又は受給できる資格がある)に死亡したこと(長期要件)
前者については、保険料納付要件(国民年金を含む加入期間の3分の1を超えて保険料の滞納がないこと)を満たす必要がありません。一方、後者については、先ほどの保険料納付要件は問われません。

この、「短期要件」と「長期要件」のどちらの要件に該当するかで、年金の計算方法が変わり、受取額に「格差」が生じます。

最低保障がある「短期」と実期間の「長期」

遺族厚生年金額の計算式は、大雑把にいうと、「短期要件」も「長期要件」も次のようになります。
死亡した人の平均給料×乗率/1000×加入期間の月数×3/4

短期要件と長期要件で乗率について若干の差はあるものの、計算式に大差はありません。問題は、「加入期間の月数」の取り扱いにあります。

加入期間とは、文字通り「加入期間の長さ」なのですが、「短期要件」については、計算に際し、「300月の最低保障」が設けられています。したがって、仮に加入期間が数カ月間しかなくても、300月で計算された年金が支給されます。

一方、「長期要件」に該当する場合は、「実期間」で計算されるため、加入期間が数カ月しかない場合は、その「数カ月」での計算となり、非常に低額となってしまいます。

平均給料が同じ(30万円)で、乗率も同じ(5.769)だとして、どれだけの「差」が生じるのかを見てみましょう。

実際の加入期間が「15カ月」だとすると、「長期要件」で年額で2万円ほどにしかならないのに対し、「短期要件」なら、年額で40万円ほどになります。この差は大きいですね。

遺族年金は、残された家族の収入の基本となるものなので、「いくら受け取れるのか」について、いろいろな特例も含めてしっかり把握しておきたいですね。


【関連記事】
30歳がターニングポイントになった遺族年金
遺族年金の「中高齢寡婦加算」って一体何?
【編集部からのお知らせ】
・「家計」について、アンケート(2024/11/30まで)を実施中です!

※抽選で30名にAmazonギフト券1000円分プレゼント
※謝礼付きの限定アンケートやモニター企画に参加が可能になります
  • 前のページへ
  • 1
  • 2
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

あわせて読みたい

あなたにオススメ

    表示について

    カテゴリー一覧

    All Aboutサービス・メディア

    All About公式SNS
    日々の生活や仕事を楽しむための情報を毎日お届けします。
    公式SNS一覧
    © All About, Inc. All rights reserved. 掲載の記事・写真・イラストなど、すべてのコンテンツの無断複写・転載・公衆送信等を禁じます