遺族厚生年金額を左右する要件とは?
短期にも長期にも両方該当する場合は、受け取り額が多いほうで計算してもらえるので、ご安心を! |
もう一つの原因は、要件によって年金の計算方法が異なることにあります。これが結構大きな差になることもあるのです。
それでは遺族厚生年金の主な支給要件を確認しましょう。要件は大きく2つに分かれます。
- 厚生年金保険に加入中に死亡したこと(短期要件)
- 老齢厚生年金を受給中(又は受給できる資格がある)に死亡したこと(長期要件)
この、「短期要件」と「長期要件」のどちらの要件に該当するかで、年金の計算方法が変わり、受取額に「格差」が生じます。
最低保障がある「短期」と実期間の「長期」
遺族厚生年金額の計算式は、大雑把にいうと、「短期要件」も「長期要件」も次のようになります。死亡した人の平均給料×乗率/1000×加入期間の月数×3/4
短期要件と長期要件で乗率について若干の差はあるものの、計算式に大差はありません。問題は、「加入期間の月数」の取り扱いにあります。
加入期間とは、文字通り「加入期間の長さ」なのですが、「短期要件」については、計算に際し、「300月の最低保障」が設けられています。したがって、仮に加入期間が数カ月間しかなくても、300月で計算された年金が支給されます。
一方、「長期要件」に該当する場合は、「実期間」で計算されるため、加入期間が数カ月しかない場合は、その「数カ月」での計算となり、非常に低額となってしまいます。
平均給料が同じ(30万円)で、乗率も同じ(5.769)だとして、どれだけの「差」が生じるのかを見てみましょう。
実際の加入期間が「15カ月」だとすると、「長期要件」で年額で2万円ほどにしかならないのに対し、「短期要件」なら、年額で40万円ほどになります。この差は大きいですね。
遺族年金は、残された家族の収入の基本となるものなので、「いくら受け取れるのか」について、いろいろな特例も含めてしっかり把握しておきたいですね。
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