年金/公的年金制度の問題

「消された」年金記録問題って、一体何?(2ページ目)

「宙に浮いた」「消えた」に続き、最近「消された」年金記録がクローズアップされてきました。あなたの年金記録が「消されて」いないかチェックする必要があるかも。

和田 雅彦

執筆者:和田 雅彦

年金ガイド

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何故、改ざんする必要があるの?

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改ざんの可能性の高い6万9千件のうち、既に年金を受け取っている受給者が3割近く含まれているとのこと
大臣が組織的関与を認める発言をしたことに、他の閣僚から「先走りすぎ」との批判もあったようですが、組織的な関与はほぼ間違いないと言えるでしょう。

その理由は6万9千件と言う圧倒的な数と、組織的に行なう必要性があったこと、と言えます。

そもそも何故改ざんを行なう必要があるのでしょうか。滞納しがちな企業の従業員の標準報酬月額を改ざん(実際よりも低く登録)や消去をすることで、標準報酬月額に応じて決まる保険料額を引き下げることが可能となり、保険料を納めやすくすることができます。

企業は保険料の半額を負担しているので、保険料が下がることはありがたいのですが、実は社会保険事務所もありがたいことなのです。

社会保険事務所では保険料の徴収率のアップが至上命題となっており、一部ではこの徴収率で事務所長の出世が決まるというウワサまで飛び交っています。従って、徴収率のアップは社保事務所全体の至上命題であり、社会保険庁全体の至上命題でもあるわけです。ですから、一職員が勝手に独断でやる問題ではないのは明らかです。

まだまだ氷山の一角

先ほど出てきた改ざんの可能性が高い6万9千件については、

■昭和61年以降のデータ
■標準報酬月額を5等級以上引き下げ
■6ヶ月以上遡及しての記録訂正

という条件で該当した記録であり、これに該当しない改ざんも多数あると思われます。むしろこの条件以外での改ざんの方が多いようにすら思います。

年金を受け取る際に、影響が出るのは、改ざんの引き下げ幅と期間です。今回の調査でも引き下げ幅が50万円にも及ぶものや、引き下げ期間が10年近くに及ぶものなど年金額が大きく変わるようなものから、数万円の引き下げ、期間も数ヶ月といったものまで様々なケースがあるようです。

当然、引き下げ幅が大きく、引き下げ期間が長いと受け取る年金額が大きく減少してしまいます。勤めていた会社の業況が思わしくなく、給料が高かった人は特に注意が必要です。

国は、標準報酬月額の確認のための通知を送るようですが、自分の過去の給料額を正確に記憶している人は少なく、解明は難航が予想されます。


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