「早く死んだら損!?」
前のページと同じ条件で男性の平均寿命に近い78歳までの総受取額で比較してみると、1年繰上げが最も多くなるが、通常受給との差は僅か |
そうすると繰上げ受給を積極的に検討している方から「通常受給でも、早く死んだら損じゃないですか?」と言われることがあります。
確かに、通常受給をするとして、仮に65歳までで亡くなった場合、年金を1円も受け取ることができません。そういう意味では「損」といえるかもしれませんね。
しかし、亡くなってしまったらもうお金の心配をすることはありませんが、生きていればずっとお金の心配は尽きないはずです。
長生きをすればするほど「お金」は必要であり続けるわけですから、長生きをして「繰上げ受給」をしてしまった後悔の方が辛いのではないでしょうか?
まして女性は男性より平均寿命が長く、長生きすればするほど「得」な方を選択するのが賢明なように思います。
繰上げが及ぼす悪影響
また、繰上げ受給することで受け取れなくなるものも出てきます。最も注意が必要なのが、遺族年金との関係です。夫の遺族厚生年金を受けている妻が、自分の老齢基礎年金を繰上げしてしまうと、夫の遺族厚生年金は65歳まで支給停止されてしまいます(正確に言うと、どちらかを選択することになる)。
遺族年金は65歳まで止まり、自分の老齢基礎年金は一生涯減額されることになるわけですが、通常受取なら、遺族年金は全額支給され、自分の老齢基礎年金は減額されません。
逆に、自分の老齢基礎年金を繰上げ受給している間に、夫が亡くなり遺族厚生年金を受け取れることになった場合、これも65歳まではどちらか選択となりますが、仮に遺族厚生年金を選択したとしても、65歳以降も両方受け取れるようになっても、老齢基礎年金はそのまま減額が続きます。
その他、繰上げ受給してしまうと障害基礎年金や寡婦年金を受け取ることができなくなることを考えると、やはり繰上げ受給はあまりお勧めできないといわざるを得ません。繰上げは一度請求してしまうと、撤回はできないこともあり、慎重に検討したいものです。
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