調整のしくみはなかなか複雑…

年金の支給停止と基本手当の調整

年金の支給は1ヵ月単位、基本手当の支給は1日単位です。支給単位の違いから以下のように老齢年金が支給停止されます。
 

150日分(5ヵ月分)の基本手当の受け取るために5月~10月の6ヵ月間かかった場合、老齢厚生年金は6カ月分支給停止されます。しかも、5月と10月はそれぞれ10日分、18日分しか基本手当をもらっていませんが、老齢厚生年金が全く支給されません。

このため、基本手当の支給が終わった後で、老齢厚生年金の支給停止の月数を基本手当の支給日数分に合わせる「事後精算」という調整が行われます。このケースでは本来、支給停止される老齢厚生年金は5ヵ月分なので、事後精算により1ヵ月分の老齢厚生年金がさかのぼって支給されます。
 
 

再雇用後の給与、年金、雇用保険の調整

老齢厚生年金の支給開始年齢が引き上げられ、最終的には老齢基礎年金と同様65歳からの支給になります。これにあわせて、60歳以降も65歳まで仕事が続けられる継続雇用制度を導入することが法律で義務付けられています。このため、定年退職後、再雇用制度などを利用して仕事を続ける人が増えています。

再雇用制度等によって仕事を続けると、一般的に、定年退職前に比べて給与の額が下がることがあります。そこで、雇用保険には収入の低下を補填する「高年齢雇用継続給付」という給付があります。定年退職後、同じ会社で引き続き働いた場合、高年齢雇用継続給付の「高年齢雇用継続基本給付金」が支給されます。

具体的には、雇用保険に5年以上加入していて、再雇用後の給与が定年時の75%未満に下がった場合に高年齢雇用継続給付が支給されます。再雇用などの雇用継続時だけでなく、60歳以降基本手当をもらわずに再就職した場合にも支給されます。

高年齢雇用継続給付の支給額は、定年退職時の給与と再雇用後の給与を比較して、再雇用後の給与が61%未満に低下した場合は給与の15%、61%~75%に低下した場合は15%から一定割合を減じた支給率を給与に乗じた金額です。
 
【高年齢雇用継続給付の支給割合】
再雇用後の給与(A)/定年退職時の給与(B) 支給割合
61%未満 (A)×15%
61~75%未満 (A)×(15%?一定率)

※「(A)+高年齢雇用継続給付」が339,235円を超える場合は高年齢雇用継続給付が支給されない。

高年齢雇用継続給付は、仕事を続けていれば最長で65歳までもらうことができます。

また、60歳以降、給与と高年齢雇用継続給付だけでなく年金ももらっている場合は、年金がさらに調整されます。つまり、給与と年金をもらっている場合、その額によっては、年金額は減額されますが(在職老齢年金)、高年齢雇用継続給付ももらっていると、さらに年金額が減額されることになりますので注意が必要です(在職老齢年金のしくみは「働き続けると年金がもらえないってホント?」を参照)。

次ページで給与、年金、高年齢雇用継続給付を調整します!