生命保険に加入していてもまだ不安?公的な遺族年金にどの位の上乗せが必要か、確認する方法をご案内します |
これは、「万が一に備えて生命保険に加入しているのに、まだ不安を感じる人が多い」という結果を示しているといえます。
そこで今回は、万が一に備えて必要な保障額を計算し、保障額のうち公的な保障である遺族年金でどの程度を賄えるのかを検証し、自分で準備が必要な保障額を確認する方法をご案内します。
<INDEX>
・必要保障額を知ろう!(1ページ)
・遺族年金のしくみ(1ページ)
・モデル事例で考える~自営業者の場合(2ページ)
・モデル事例で考える~会社員の場合(3ページ)
・必要保障額と死亡保障(3ページ)
必要保障額を知ろう!
家計を支える世帯主が亡くなり、その後の生活に必要なお金を遺族は全て準備しなければならないのか?というと、必ずしもそういうわけではありません。ここで万一のときの必要保障額の考え方についてみていきましょう。まずは収入を考えます。
定期預金や生命保険などすでに準備されている資産、公的保障である遺族年金、会社員であれば死亡退職金など世帯主の死亡に伴う給付の他、遺族が働いて得る収入などを生活費に当てることができます。
次に、支出については末子が大学を卒業するまでの生活費を現在の生活費70%として計算し、子どもが独立したあとは現在の生活費の50%として計算することとします。このようにして計算した生活費に、子どもの教育資金や予備費など一時的な支出を合計して支出の予想額を計算します。
ただし、住宅ローンについては、ローンを契約するときに、世帯主の死亡時にローンの残高が死亡保険金として支払われる団体信用生命保険を契約している場合が多いので、遺族がローンを返済するケースはほとんどありません。
このようにして求めた支出の合計から収入の合計を差し引いた金額を「必要保障額」といい、万が一に供えて準備が必要な金額を表しています。
遺族の収入 | 遺族年金・老齢年金・妻の収入・死亡退職金 生命保険金・預貯金 |
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遺族の 支出 |
子どもの 独立前 |
現在の生活費×70%×12ヵ月× (22年?末子の年齢) |
子どもの 独立後 |
現在の生活費×50%×12ヵ月× (末子大学卒業時の妻の平均余命) |
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その他 | 子どもの教育費や結婚資金・予備費 | |
必要保障額 | 遺族の支出?遺族の収入 |
遺族年金のしくみ
遺族の収入のうち、死亡退職金や預貯金の残高、死亡保険金などは世帯ごとに違いがありますが、公的な保障である遺族年金が支給される要件や計算方法は共通しています。国民年金から支給される遺族年金と厚生年金から支給される遺族年金の支給要件や支給額は「『もしも…』の場合の年金は?」をご覧下さい(遺族厚生年金の改正点については「平成19年に実施される年金改正は?」をご覧下さい)。
一方、遺族年金の中には、夫が死亡して妻が遺族となった場合に支給される妻だけの遺族年金があります。ここでは、妻に対する遺族年金をそれぞれみていきましょう。
●国民年金から支給される寡婦年金
死亡した夫が第1号被保険者として25年以上保険料を納付していた場合、妻に支給される年金です。会社員の妻には支給されません。
寡婦年金が支給される妻の要件は、以下の通りです。
・夫によって生計を維持されていたこと
・死亡した夫との結婚期間が10年以上あること
・65歳未満であること
寡婦年金は、死亡した夫の保険料の納付期間により計算した老齢基礎年金の年金額の4分の3相当額で、妻に対して60歳~65歳まで支給されます。ただし、寡婦年金は、死亡した夫の保険料が掛け捨てにならないよう妻に支給される年金なので、夫が老齢基礎年金や障害基礎年金をもらっていた場合には支給されません。
●厚生年金から支給される中高齢寡婦加算
中高齢寡婦加算は、遺族厚生年金を受給する妻が40歳~65歳まで遺族厚生年金に加算される年金です。中高齢寡婦加算が支給されるためには、まず次の1.または2.のどちらかに該当しなければなりません。
- 夫の死亡時に40歳以上65歳未満であった
- 夫の死亡時は40歳未満だったが、40歳になったとき遺族基礎年金を受給していた
- に該当する場合は、遺族厚生年金の支給開始と同時に中高齢寡婦加算が支給されます。ただし、子どもがいて遺族基礎年金がもらえる場合は遺族基礎年金が支給され、子どもが遺族基礎年金の遺族に該当しなくなったときから中高齢寡婦加算が支給されます。
- に該当する場合は、子どもが遺族基礎年金の遺族に該当しなくなったときから中高齢寡婦加算が支給されます。
中高齢寡婦加算の額は定額で、594,200円(平成20年度額)が支給されます。
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