目標額に向けて資産運用するポイントは? |
老後資金準備のポイントは?(1)~長期間の運用
老後資金は目標額が大きな資金となる傾向がありますが、また、準備にかけられる時間が長いという特徴もあります。前述のように老後資金を必要とする年齢を65歳からと仮定すると、40歳代の人なら約20年、30歳代の人なら約30年という長い時間をかけて準備することができます。もし、老後資金を定期預金で準備するとしたら、時間をかけることで複利効果が期待できるので、より効率的に資金を増やすことも可能です。例えば、500万円を老後資金とするために、年利2%、30年間定期貯金で運用した場合を考えてみます(利息にかかる税金は考慮しません)。元本のみに利息がつく単利で運用した場合、30年後の元本と利息の総額は800万円です。
一方、利息を元本に含めて運用する複利で運用すると、30年後の元本と利息の総額は約900万円です(複利運用と単利運用の詳細は「20歳からの老後資金準備。まだ早くないの?」をご覧ください)。以下のグラフのように、運用する時間が長いほど複利の効果が大きくなります。
国民年金基金に加入できるフリーランスや自営業者の場合は、加入時の年齢が低いほど、長期間運用できるので、毎月の掛金負担が少なくてすみます。早めに加入すれば、無理のない範囲で老後資金を準備することができるでしょう(国民年金基金についての詳細は国民年金基金のHPをご覧ください)。
株式など値動きの大きな金融商品の価格変動を短期間でみてみると、最近の日経平均株価では大きく値下がりしたり値上がりしています。しかし、老後資金を準備するための運用は比較的長期間にわたります。リスクのある商品で老後資金の準備をしている人も、目先の運用商品の値動きだけで運用をいちいち見直すのではなく、老後資金が必要となるまでの時間を考慮して、あわてずに長い目で判断するとよいでしょう。
老後資金準備のポイントは?(2)~分散投資
金融商品にはそれぞれリスクがあります。リスクとはリターンのブレのことです。定期預金などの安全資産ではリターンが小さいけれどリスクも小さく、株式はリターンが大きいけれどそのブレであるリスクも大きいということになります。このリスクを軽減することを考える上で、投資対象を分散することがもっとも大切なポイントになります。例えば、株式と債券に分けて資産を運用する、円建ての金融商品だけでなく外貨建ての商品も利用する、株式に投資するならば業種の異なる企業の株式に投資するなど、投資対象を組み合わせることでリスクを軽減することができます。
このように資産を分散・組み合わせして運用する方法を「ポートフォリオ運用」といいます。ポートフォリオ運用を行うことによりリスクが軽減されることをポートフォリオ効果といいますが、この効果を測定するために「相関係数」という係数がよく利用されます。相関係数とは、組み合わせた金融商品の値動きの関係を表すものです。
・相関係数=1 ⇒各資産の値動きが全く同じ方向 |
・相関係数=0 ⇒各資産の値動きに全く関係がない |
・相関係数=?1⇒各資産の値動きが全く反対の方向 |
もし、値動きが全く反対の金融商品を組み合わせて運用すれば、一方が値下がりしてももう一方が値上がりすることでカバーできます。また、お互いの動きを打ち消しあって、ブレ幅も抑えることができます。
ただし、実際の運用ではこのような組み合わせを実現することはなかなかできませんが、できるだけ値動きが反対のものを組み合わせて運用を行うと、リスク軽減の効果が大きくなります。
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