確定申告/確定申告の手順(申告・納税・還付)

確定申告の記入を間違えたときには「訂正申告」を。「更正の請求」と「修正申告」がある

確定申告書を提出した後で、間違いを記入したことに気が付いたらどうしたらいいでしょうか? 例えば、医療費控除やふるさと納税の申告漏れに気づいた、計算の間違いや記入ミスに気づいた等です。申告の期限前なら、「訂正申告」をすれば大丈夫です。確定申告期限後であれば「更正の請求」と「修正申告」の2つの方法があります。訂正申告の方法(書き方)を解説します。

平田 浩章

執筆者:平田 浩章

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確定申告の締切前なら「訂正申告」でやり直せる

国税庁の調査によると、確定申告をしている人は約2,204万人(令和2年に確定申告が行われた令和元年分の確定申告者数)。そのうち税金を戻してもらえる還付申告者数は約1,302万人で、申告者の半数を超えています。
確定申告の提出をした後で、昨年の医療費の領収書や保険料の控除証明書が出てきたという人も多い

確定申告の提出をした後で、昨年の医療費の領収書や保険料の控除証明書が出てきたという人も多い



現在の日本の総人口(1億2571万人、令和2年12月時点)に対しては、約10人に1人が納めた税金を取り戻しています。すごい数ですね。

確定申告の提出をした後で、昨年の医療費の領収書や保険料の控除証明書が出てきたという人も多いそうです。「もう今年の確定申告手続きしてしまった後だし……」とあきらめることはありません。

2020年分の確定申告の締切は2021年3月15日ですが、それまで確定申告を訂正したものを再提出することができます。これを「訂正申告」と言います。
 

訂正申告の手続き方法

最初に提出済みの確定申告書類は、訂正があると申し出ても戻してはもらえませんので、再度作成して提出します。このように、同一の人が複数の確定申告を提出する場合、日付の新しい申告書が効力を持ちます。

加えて、再提出する確定申告書の一枚目の上部に朱書きで「訂正申告」と書き、余白欄に訂正前の申告年月日と訂正前の申告税額を記入の上、訂正の内容を証明できる書類を添えて提出します。

訂正の必要がある人は、「また、確定申告書を作らないといけないの? めんどうくさいな……」と思わずに、やってみましょう。

作成・提出した確定申告書の控えを見ながら、訂正箇所とそれに関わる部分を手直しするだけですから、やってみると意外と簡単です。今年きちんとやっておけば、次回以降の確定申告では同じような漏れも少なくなります。
 

申告期限後の訂正方法は「更正の請求」「修正申告」の2つ

●更正の請求
申告期限後の訂正のうち、税金を戻してもらうため、あるいは還付してもらう税金を過少に計算してしまった場合の手続きを「更正の請求」と呼びます。訂正申告と似ていますが、異なる点は、申告期限を過ぎた場合に行う手続きであるということ。また、その期限は原則、申告期限から5年間です。書類は税務署に用意されている「更正の請求書」という所定のものを使用します。

●修正申告
反対に、申告した納税額が少ないことや還付してもらう税金が多すぎることに気づいて、申告期限後に訂正を行う場合の手続きを「修正申告」と言います。この手続きについては、計算漏れや誤りなどがあった場合、ペナルティが発生する場合があるのですみやかに行いましょう。税務署から調査を受けてから修正する場合は、追加で納める税金にプラスして過少申告税(追加される税金の10%~15%)を納めなければなりません。

追加の税金を納付するのは、修正申告書を提出する日まで。あわせて納付期限の翌日から2カ月までなら原則年7.3%(ただし、令和3年1月1日から12月31日までは年2.5%)、それ以降は原則年14.6%の延滞税が経過期間に応じてかかります(ただし、令和3年1月1日から12月31日までは年8.8%)。支払う税金にさらに税金がつくという事態は何としても避けたいですね。

確定申告の改正点

2021年の確定申告から改正される主な点は下記のとおりです、しっかり押さえておきましょう。

<減税>
・基礎控除が38万円から48万円に引き上げられました(合計所得が2,400万円以下)。
・「ひとり親控除」が創設され、該当者は35万円が控除されます。
・配偶者控除の配偶者の合計所得が38万円以下から48万円以下に引き上げられました。

<増税>
・お勤めの方の給与所得控除が10万円引き下げられました。
・個人事業主の青色申告特別控除が65万円から55万円に引き下げられました(e-Tax利用等で65万円控除)。
 

今なら間に合う確定申告、こんな人は要チェック!

次のような人たちは税金が戻ってくる可能性があります。
 

株式や投資信託に関わる申告

【ケース1】
昨年の前半は複数の証券会社で株式や投資信託の売買で利益が出ていたけれど、後半は株価の低迷で損切りしてトータルで損失となった。

【ケース2】
特定口座で所有する投資信託の定期的な収益分配金から税金が源泉徴収されていたが、他の証券会社で年間を通じて投信の売買はマイナス収支だったので、確定申告すると税金が戻ってくると聞いた。

【ケース3】
確定申告はしたけれど、株式の売買や配当に関わる申告は全然していなかった。

【ケース4】
今年は株式の損失だけで申告しても戻ってくる税金はないと思っていたけれど、損失を3年間繰り越すことができると聞いた。

【ケース5】
証券会社で3年前に購入した投資信託を昨年売却し、損失が発生しただけなので申告は必要ないと思っていた。一方で、銀行で購入してした投資信託からは毎月分配金が発生して税金が源泉徴収されており、申告すれば税金の還付を受けられるとマネー雑誌で読んだ。

※ケース1~5はいずれも申告期限の2021年3月15日までの申告が必要です。
 

医療費控除の申告

【ケース1】
昨年、扶養に入れた親の病院の領収書が出てきた。

【ケース2】
昨年、半年間通院した際の交通費(バス代等)を、計算が面倒くさいと思って申告しなかったけれど、まとめると大きな金額になった。

以上のように、訂正申告をしたほうがよいケースはいろいろとあります。これはどうかな?と思ったら所轄の税務署などに問い合わせて、訂正申告できないかを確認してみましょう(ただし税務署によって、訂正申告ができるもの、できないものの判断が異なる場合があります)。
 

2017年から始まったセルフメディケーション税制

医療費控除については従来の医療費控除に加えて、新たにセルフメディケーション税制が始まりました。

これまでは医療費が年間10万円を超えないと利用しても意味がありませんでした。

新たにできたセルフメディケーション税制では、ある特定の医薬品をドラッグストアなどで購入した場合、年間12,000円以上だと控除の対象となります。ただし、購入総額88,000円までが対象です。

従来の医療費控除とこの制度の両方は利用できませんので、いずれか有利な方を選択する形になります。

年間の医療費がわずかで医薬品の購入額が12,000円以上の場合はセルフメディケーション税制。医療費が100,000円超で医薬品の購入が少ないなら従来の医療費控除を活用する方が良いでしょう。

※所得が無いか少額で配偶者の扶養に入っている場合は、株式や配当の申告を行うことで、その後の扶養から外れたり、住民税などの税金の負担が大きくなる場合があります。

※後期高齢者医療制度に加入されている場合、株式や配当の申告を行うことで、医療費の自己負担額が増える場合があります。

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