利息制限法には罰則がありません
前ページで話した2つの法律には大きな違いがあります。罰則面です。出資法には、5年以下の懲役、もしくは1000万円(法人の場合、最高で1億円)以下の刑事罰が科せられます。一方、利息制限法には罰則規定がありません。そのため貸金業者は、この利息制限法を事実上無視し、出資法を守ることを基準としている傾向があるのです。
事実、クレジットカードのキャッシングや消費者金融、商工ローンなどは、利息制限法を超える25~29.2%という金利で貸付けをしています。
何のための利息制限法なのか、なぜ一つの国で異なる上限金利があるのか。この大きな矛盾の原因の一つとして、「貸金業の規制等に関する法律」第43条、通称みなし弁済という規定があるからなのです。
●みなし弁済
一定の条件を満たせば、たとえ利息制限法を超える金利であっても、出資法の上限金利範囲内ならば高い金利を取っても良い、とする例外的な規定。
みなし弁済が認められる条件は5つあり、貸し手の貸付け方法は厳格な要件で定められています。簡単に言うと下記のようになります。
・貸主が貸金業登録業者であること。
・借主が利息として支払ったこと。
・借主が利息として任意(強制ではなく)に支払ったこと。
・17条書面(契約証書)を交付していること。
・18条書面、受け取り証書(領収書)を交付していること。
例えば、現金を引き出すときや返済するとき、ATMから出てくる簡略された小さな明細では、正式な契約書や領収書とはいえなく、みなし弁済の規定を満たすことはできないのです。
借りたお金が減額される仕組み
みなし弁済が認められないと、結果どうなるのか。今までの約定どおりの出資法範囲内で借りていた高金利の20数%の借入れは、利息制限法の上限金利に引き直しがされます。多く払っていた金利部分は元金に充当され、借金が減るということになるのです。でも、直接貸金業者に「金利を下げて、その分元金に充て借金額を減らしてください」と言っても、簡単には応じてくれません。
通常、本人が簡易裁判所に申立てる特定調停や、弁護士や司法書士に委任する任意整理などの債務整理や訴訟などをして、その条件への変更がなされていきます。
また、この利息制限法への金利の引き直しは既に一般化され、メジャーな解決案になっています。
高金利の借金は利用していた期間が長いとか、借りかた(利用のしかた)により、大きく減ることがあります。返済困難に陥った人、もしくはこのままでは困難に陥る可能性がある人にとっては、検討されることも大切だと思います。
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