借金の返済・債務整理/これがキホン!お金を返す大事な話

わが子が多重債務。親としてどうする?

わが子が多重債務者に。それを知った親はどういう態度をとるべきでしょうか?子どものために借金を返す行動は、意外と将来「子どものためにならない」ことにもなりうるのです。

横山 光昭

執筆者:横山 光昭

お金を貯める体質改善ノートガイド

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息子から多額の借金があると聞いた母の相談

「東京で一人暮らしをしている息子からお金を借りすぎてしまい、返済することができなくなった。必ず返すから、300万円貸してもらえないだろうか?という話をされました。私は息子のことが心配なので、親として何とかしてあげたいとは思っているのですが…。そんな大金を工面してあげるほど余裕もないのですけど。」(46歳・パート)

こういった、相談をお聞きすることがあります。子どもからこんな話を聞くと「親にまで言うのだから、よっぽど借金に困っているんだろう」と悩むことでしょう。

子どもが多重債務に陥っていたらどうする?

子どもが多重債務に陥っていたらどうする?



この種の相談、実は意外と多いのです。どうすればいいと思いますか? 子どもがまだお金を借りられる年齢ではないという方もいるでしょうが、もしも将来こういうことを聞いたらどうすればいいのかを、一度考えてみてはどうでしょう。

ありがちな考え方は失敗になる!?

親として、わが子を心配する気持ちは非常に分かります。ただ、どうすればいいのか?というよりも、「どうすることが本人(わが子)には良いのか?」という“本人の今後”という視点で考えてあげるべきです。

本人の今後のことを考えて、というと、決まってこう考える親がいます。

「返せなくて自己破産なんかさせたらいっかんの終わり。クレジットカードやローンが利用できなくなっては可哀想だし、親の責任でもある。仕方ないから、今まで貯めたお金を渡したり、親戚の余裕のありそうな人に話をして借りてあげよう」という、ありがちな考えです。

この子どもは将来、どうなるでしょう? 100%とまでは言えませんが、大部分は失敗します。子どもの金銭感覚がダメなままになってしまったり、余計に苦しめることになる、ということが起こり得るのです。現実に、借金に困っている人(特に若年層)に過去の話を聞くと、「一度目の借金は親に返してもらいました」と言う人も多いのです。

わが子は貸金業者の優良顧客「鴨ネギ」

お金をなんとかかんとか準備し、子どもに貸すもしくは援助としてあげたとします。本人のお金というものに対する捉え方やメンタリティの問題はさて置き、例えば現実問題どのような影響が出るのかを探ってみましょう。

親が用意したお金で子どもは各社の借金を完済します(一部の業者にだけ返済して「全部払った」とウソをつく、心の腐った人も世の中にはいますが)。完済したら、貸金業者はどう考えるでしょう。「この人に貸しても大丈夫。もしかすると強力なスポンサーもついているのか?」と受け取るところもあるでしょう。

また、彼らは貸すことが仕事なのですから、業者によっては「○○さん、この前はありがとうございました。今まで50万円の上限枠でしたが、現在は100万円まで自由に使えるようにしてありますから」と余計な連絡を入れてくるところもあるわけです。

人は弱いものです。再度、誘惑に駆られてしまうことだって十分にあるわけです。こういった人を貸し手は優良顧客という区分で扱い、鴨がネギ背負って来ると思っているかもしれません。

では、どうすればいいの?

このように場合によっては、親が良かれと思いやったことがアダになってしまうわけです。ならば、どう対処することが得策なのか。

借金を返済することに協力するのではなく前向きな意味で、借金整理(任意整理、個人再生、自己破産など)を検討するよう勧めてあげてはどうでしょう。そして、その借金整理費用を少し援助してあげる。これだと本人の気構えしだいでもありますが、本人にとって今後一番良い方向につながる確度が高いです。親として、生活を変えるチャンスを与えてあげるわけです。

親が借金を代わりに支払うということへの疑問

そもそも、親がお金を出してあげるというこの行為、成人して働いている大の大人にしてあげることではないように思います。まして「親としての責任もありますし…」「今後クレジットカードとか使えなくなることが可哀想で…」と考えることには疑問を感じます。

親の責任といいますが、子が成人したら、子は子です。親は親。親離れ、子離れは大丈夫でしょうか。今後クレジットカードが使えなくなることが可哀想といいますが、確かに、何かしらの借金整理をすると個人信用情報機関に登録されます。しかし、一生使えないわけでは当然ありませんし、その期間は借金依存体質などを直すのにうってつけでもあります。すべて現金で生活するのも快適なものです。その後の本人の気構えさえしっかりしていれば、なんら恐れることなどないのです。

本人だって再び借金の失敗は辛い

信用情報機関に登録された後の生活のこともそうですが、なぜ親が必死にお金を工面し、代わりに払ってあげることに注意をうながしているかというと、私はこういった失敗ケースをいっぱい目撃しているからです。本人にももちろん良い影響は少ないでしょうし、出した親も大変です。余裕がたっぷりある人は別として、普通そのような大金を一括で出せば今後の親の生活も、何ら支障なしという状況にはならないわけです。

親が返済しても今後の薬になるか?と考えてみてください。本人も、次の失敗をしたときは、もっと苦しいはずです。本人を思ってのことなら、自分でケリをつけさせてみてはどうでしょうか。

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