自己破産をした時、何を思う?
「自己破産に対して自分の中にも偏見があったんだ」 |
ーーー自己破産を実感したのは?
裁判所から「破産が認められました」っていう通知が来た時に、人じゃなくなったような、国民じゃなくなったような感覚かな。自分の中にも自己破産に対しての偏見があったんだよね。(テーブルの上のポットを指さして)コーヒーポット1つ割っても『わー』って思うじゃない?その何100倍の『わぁっーーー!!!!!』でしたね。ポットは買えばいいけど、取り返しのない事をしたんだなという・・・。周りにも偏見があるからね。「生活保護を受けてるんでしょ?」とか「選挙権ないんだよね」※とか。
ーーー自己破産をした事を知ってる人ですね。
知り合いからお金を借りてたから、その人達にも通知が行くんですよ。こちらは新しい人生の始まりだと思うけど、「かわいそうな人」というイメージなので、冗談も言えない・・・。
ーーー免責になるまでの生活はどうでしたか?
全財産没収される訳じゃないから、食える時は普通に食ってたし。ラーメン屋に行きたいのがカップラーメンになる事もあったけど、普通に生活しててもそういう事ってあるでしょ。あとは車を売ったかな。自己破産した人の車を買い取る業者がいて、すぐに来たよ。生活で不自由な事は思ったほどなかったかもしれない。免責までは、会社を作っても社長にはなれないからそれくらいかな。
ーーーその後の生活は。
仕事は、職種を替えようと思ったけど、替えられなかった。違う仕事もしたけど、結局昔一緒に仕事をしていた人に、やっぱりお前はこの仕事の方がいいぞって言われて、「仕事で返しますから」って金借りて今は新しい会社を作りました。
ーーー当時を思い返してみて、どうですか。
死ぬという行為まで考え覚悟もしていたけど、命を落とすというレベルの話じゃないと思った。大学受験に失敗しても、他人に迷惑かけないけど、社会人として事業に失敗したんだから迷惑がかかる。それに気負ってもしょうがないと思いたいけど、なかなか思えないんだよね。自分が作り上げてきた信用も失って、二度と同じ仕事は出来ないと思ったけど、結局は今同じ仕事をしてる訳で、自分や家族にとって、俺の自己破産は大きかったけど、世の中は何も変わらないと思います。
ーーー今はどんな生活ですか?
今年はお陰様で仕事が順調なんですが、知り合いに会社を始める時に借りたお金の返済が月に100万円ぐらいあって、年収1000万円でも厳しいから頑張ってます。年収1200万以上じゃないと食えないからね。
ーーー多重債務者にメッセージがあれば。
絶対、生命保険は入っておいた方がいい。万一の時に、家族に迷惑がかかるから。あと、自分で判断出来なくなってるか信頼出来る人に自分を預けた方がいい。弁護士もかかりつけの医者くらいもっと身近だったらいいのにと思うね。弁護士費用も、分割してもらえる先生もいるし、周りには自分が自己破産したって言わなきゃ絶対分からないから、傷が浅いうちに相談に行った方がいいです。
(※注釈)
●生活保護、選挙権:免責になるまで職業の制限はありますが、仕事は出来ますので生活保護を受ける必要はありません。選挙権はなくなりません。
周りに迷惑をかけた事に後悔し、今はただ生きて行く事を考え仕事をしているというマナブさん。お人柄から、以前の仕事関係者から声がかかったのもうなづけます。「自己破産」という重苦しいイメージから連想される、様々な偏見があるのは事実ですが、自分から言わない限り自己破産した事はわかりません。安易な自己破産は避けるべきですが、その後の生活の建て直しを考えると、重症になる前に相談に行く事をお勧めします。
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