弱い立場の人を救いたい
横山: 猫次郎さんの地道な活動は、マスコミにも取り上げられてきましたね。吉田: そうですね。でも、恥ずかしい過去も沢山ありますので、本当は今のように顔をさらして雑誌や新聞等に出るのもすごい抵抗があります。
横山: 大変な仕事をなぜ続けられているのですか?
吉田: 「求められているから」です。私以外にも、借金の相談に乗れる専門家は数多くいます。また、事業の再生に強い専門家も数多くいます。しかしそれは、個人の債務整理に強い弁護士や司法書士などの専門家か、あるいは再建の見通しのある中小企業(というより中堅企業)を相手とする経営コンサルタントが多く、その間に埋もれている「今にも潰れそうな小企業・零細企業・自営業」をケアできる専門家は皆無なのです。
おそらく最も数が多く、自殺にも最も近いだろうと思われるのが、この「今にも潰れそうな零細・自営業」の層です。私自身もこの層にいて地獄に落ちた経験があるだけに、やはり放っておけないし、助けを求められているのに他に代役がいない現状にあっては、やはり私の与えられた役目は、零細・自営業者の再生のお手伝いをすることにあると思うのです。
ここで私のことをはじめて知った方へお断りしておきたいのですが、私が現在経営している「猫次郎経営研究所(猫研)」は、個人の債務整理を行うところではありません。零細・自営業の再生のための経営コンサルが主な業務であり、そのほかに、業務外のボランティア的活動として、安い会員制の「猫次郎塾」(自力で多重債務を脱出するための自立援助・相互支援の会)や、月に1?2回の無料相談会を設けているのです。
横山: 借金解決には手続面以外のサポートも重要ですから、素晴らしい活動だと思います。
吉田: ただ、個人の債務整理は法律事務を伴うことが多いので、これを業にすると弁護士法72条に抵触する恐れがあります。ですから私は、法に触れないようにという意味も含めて、「個人の債務整理」ではなく「事業の再生や倒産回避のためのコンサル」のほうに重点を置いているのです。また、自社で全て片付けようとはせず、親しい弁護士や税理士や司法書士さんと連携して役割分担する場面も少なくありません。こうして、合法的にあらゆる手段を駆使して、ベストな解決方法に向けて誘導するようにしています。
これからも自然な形でステップアップ
横山: 最後にこれからの展望などありましたら、お聞かせください。吉田: いたずらに事業規模を大きくすることは考えていませんが、自然な形で徐々に成長できればと考えています。人に感謝されながら自分たちも成長していきたいです。
そして、この活動を通じて、より多くの人たちと出会い、その出会いを大事にしながら、自分たちの世界をより広くし、充実感を味わいながら、次のステップを考えていきたいと思います。
*前編・後編に別け、吉田猫次郎氏とお金や借金、それにまつわる話をしてきました。いかがでしたか? 窮地に追い込まれ、そこから頑張り乗り越えた吉田猫次郎さんからの言葉なので勇気が沸いた人も多いのではないでしょうか。
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