「新価」と「時価」、2つの評価基準がある
火災保険では建物の価値を保険金額にするのがルール |
火災保険は「建物の価値」を保険金額にするのがルールですが、火災保険上の建物の価値は、実際の不動産取引における市場価格とはまったく異なる基準で算出されます。建物の構造と延べ床面積、築年数などから個々に算出されるものなので、こうした情報をととのえ、損保会社および代理店に建物の評価を依頼し、算出してもらうことになります。
また、建物価値の測り方には、「新価(再調達価額ともいいます)」「時価」という、2つの基準があり、どちらの基準をもとに契約しているかで受け取れる保険金が変わってきます。ただし、新たに火災保険の契約を結ぶ場合、現在では新価をベースにすることが一般的になっています。とはいえ、10年以上前に長期で契約した火災保険には時価で契約されているものもありますので、新価と時価について、以下でくわしく説明しましょう。
「新価」基準で契約したなら再建が可能に
「新価」基準で契約したなら再建が可能に |
なお新価は、現時点の建物の構造や質、用途や規模、型・能力のものを建築するのに、現在いくらかかるかをもとに計算されます。
以前は「住宅火災保険」あるいは「住宅総合保険」を契約していた人がほとんどでした。ところが昨今では、1998年の損害保険料自由化後に発売された各社独自の火災保険商品が販売の主力となり、これらはおおむね、新価基準の商品になっています。
また、銀行での長期火災保険の窓口販売が解禁されたのは2001年4月以降ですが、それ以降にマイホームを取得し、銀行で火災保険契約をした場合も、多くは新価基準となっているようです。要するに、比較的近年マイホームを取得した人が契約した新規の火災保険ならば、おおむね新価基準で契約しているものと考えていいでしょう。
なお、長期の火災保険で心配なのはインフレ。契約当初は正しい金額でも、建物の建築費などが高くなり、契約している保険金額では不足が生じる可能性があるからです。ただこの場合でも、建築費が高騰したりして保険金額に一定の不足が生じる場合には、保険会社からメンテナンスを促す知らせも来ます。
被害を受けた建物が元通りにできるだけのお金が受け取れるのですから、利用者である私たち契約者にとって、新価はわかりやすい基準といえますね。